「水を飲んでも太る」「ヤセてもすぐにリバウンドする」とお嘆きのあなた、昨今のダイエットの潮流は「○○だけ」や「××制限」から「体質改善」に変わろうとしています。太りやすさだけではなく、病気になりやすい体質の改善にもなるのが「腸内細菌」。最新医学で明らかにされつつある、そのパワーをのぞいてみましょう。食事中の方は、あとでお読みくださいね。

●もう始まっている「便移植療法」

 表題にした「便を移植する」ですが、ちょっと聞いただけでも気になる話ですよね。しかし、この方法、実は非常に歴史が古く、副作用の心配もなく安全であることから欧米を中心に研究されてきました。現在のところ「肥満」は、その可能性がマウスで実証された段階で、臨床レベルには達していません。また、日本では、その衝撃の大きさから非常に慎重に研究が進められている最中で、順天堂大学医学部が2014年6月から潰瘍性大腸炎を対象に移植を開始、慶應義塾大学や滋賀医科大学、千葉大学医学部などでも治験が始まっています。

●肥満や花粉症を招く「体質」のカギは腸内細菌

 なぜ、そんなことができるのかをごくごく簡単にいうと、おなかの中の「腸内細菌」の種類や数が、肥満や自己免疫性疾患、花粉症やアレルギーと密接に関わっているからです。

 肥満の研究では、太りやすいマウスの腸内細菌をすべて抗生物質で殺してから、正常なマウスの便を移植することで、肥満傾向がピタリと抑制されたのです。逆の実験も行われ、正常なマウスに肥満しやすいマウスの便を移植すると、そちらのマウスは太ってしまうことが分かりました。

 「水を飲んでも太る」体質などといいますが、その秘密は腸内細菌の種類や数にあったのですね!

●腸内細菌のパワーは「お通じ」だけではない!

 健康のために納豆やヨーグルトを食べている人は多いと思います。腸内を健やかに保ち、お通じを確保するのが主な理由のはずですが、腸内細菌のパワーがただ単に「便秘しない」というレベルのものではないことが次々に明らかになっています。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科の教授で、アンチエイジングと男性更年期にも詳しい堀江重郎氏によると、今年の「日本抗加齢医学会」の全国学術大会で最も注目を集めたのも「腸内細菌」の研究だった、とのこと。

●アンチエイジングへのアプローチも腸内から

 やはり動物実験の段階ではありますが、乳酸菌とアルギニンをあわせて摂取すると、腸の中で乳酸菌が働いて若返り物質の「ポリアミン」が生まれ、認知症が改善するということですから、黙っていられません。

 アルギニンはアミノ酸の一種で、肉類やナッツ類に多く含まれていることがわかっていますが、それ自体でポリアミンを持っている食品もあります。それが納豆です。

 数年前、「納豆ダイエット」を紹介するテレビ番組の影響で全国の納豆が売り切れるという騒ぎがあったのを覚えている方も少なくないでしょう。結局この騒動はテレビ局側の問題で番組は打ち切りになりましたが、納豆自体の実力は変わらず健在。昨今ブームのスーパーフードと比べて決して引けを取らないと思われます。