「介護保険料」について、皆さんはどのくらいご存じでしょうか。高齢社会の進行に伴い2000年4月にスタートした介護保険制度の運営主体は「市区町村」です。自治体から「要介護」「要支援」の認定を受けた65歳以上を中心にさまざまな介護サービスが行われ、利用者は実際にかかる費用の1割(所得によっては2割)を負担するだけですむという制度です。

●2911円でスタートした介護保険料が8165円に!?

 介護保険制度がスタートした当初、介護保険料は全国平均で月額2911円でした。ところが、しだいに高くなって、2015年には7割以上の自治体で5000円を超えて全国平均5514円に達しているとのことです。しかも今後、2020年には6771円、2025年には8165円に達するものと、厚生労働省では予測しています。

●保険料の地域格差は、最高で3.1倍の開き
 
 厚労省が2015年4月にまとめた市町村動向によると、第6期(2015〜2017年度)の保険料基準額が最も低いのは鹿児島県三島村の2800円、その次に低いのは北海道音威子府村の3000円。一方、最も高かったのは奈良県天川村の8686円、次に高いのは福島県飯館村の8003円となっています。最も高い地域と低い地域を比較すると、月々の差額は6000円近く、格差は3.1倍に達しています。ちなみに東京都内23区を見ると、最も高いのが港区6245円、安いのは荒川区5662円です。

 都道府県別にみると、最も低いのは埼玉県で4835円、逆に最も高かったのは沖縄県で6267円と発表されました。なぜ、このような地域格差が生まれるのでしょうか。

●高齢者が多く、サービス利用が多ければ保険負担は増える

 介護保険制度の財源は公費が50パーセント、残りの50パーセントが40歳以上の国民が自治体に納める「介護保険料」でまかなわれます。公費50パーセントについては、国25パーセント、都道府県12.5パーセント、市区町村12.5パーセントの割合が定まっています。保険料負担額については、市区町村が3年ごとに介護保険事業計画を策定し、それぞれの地域における3年間の保険給付費の見込みにもとづいて、具体的な額を定めています。

 一人ひとりが支払う介護保険料に影響するのは、その自治体の高齢者の数と介護サービスの利用総額です。要介護認定者の数が多かったり、介護施設で暮らす高齢者が多い自治体ほど、介護保険料が高くなるわけです。先述の介護保険料が最も高かった奈良県天川村の場合、人口およそ1600人のうち65歳以上が4割以上で介護施設に入所している高齢者も増加したこと、2012〜2014年度に財政安定化基金から1800万円を借り入れたことから、「全国一」の保険料となってしまったようです。

●「ころばん体操」で、保険料を引き下げた東京・荒川区

 高齢者が多くても、健康な生活を送っていれば、介護保険料負担は減らすことができます。介護予防のための取り組みを積極的に行なっているのが、東京都内で唯一、介護保険料を引き下げることに成功した荒川区などの例です。

 荒川区では、2002年に首都大学東京と協力して、オリジナルの転倒予防体操「荒川ころばん体操」を開発しました。そして、地区のボランティアリーダーによる協力を得て、現在では区内公共施設等26カ所で週1、2回実施しているのです。4カ月続けると足腰に筋力がつき、転倒率が全国平均と比べて半分になるなど、効果が実感されています。

 健康寿命をのばして元気な高齢者が増えれば、介護保険料も安くなる。ぜひ全国で実現したいものです。