長い人生の土台づくりをするのが「学校」です。小学校・中学校・高校・大学と人生の節目で出会う学校選択の場面で、公立校と私立校にどれほどの違いがあるのでしょうか。「お金」に関するデータから検証してみました。

●大学へ入るまでに子どもの教育費としてかかるお金の総額は?

 まず、最初に気になるのが、学校や塾、おけいこごとなどに支払うお金の総額です。ここでは幼稚園も含め、小学校・中学校・高校と4回の選択場面で、公立を選ぶか私立を選ぶかで、6通りのケースをシミュレートしてみました。

1.公→公→公→公(すべて公立):523万円
2.私→公→公→公(幼稚園のみ私立):609万円
3.公→公→公→私(高校のみ私立):698万円
4.私→公→公→私(幼稚園と高校が私立):784万円
5.私→公→私→私(小学校のみ公立):1041万円
6.私→私→私→私(すべて私立):1770万円

 幼稚園から高校まですべて公立を選んだときと、すべて私立を選んだときでは約1250万円の差額、3.38倍の開きがあります。オール私立に通う子ども一人分の負担額で、オール公立なら3人通っておつりがくるというわけです。

 この数字は平成26年度に文部科学省が発表した「子どもの学習費調査」によるもの。全国の都道府県知事や都道府県教育委員会から提出された調査票に基づいて、文部科学省が全国の幼児・児童・生徒一人あたりの年間経費を推計(幼稚園は3年で計算)しています。

●公立中学でも私立中学でも、塾の負担は同じぐらい?

 「公立は原則、給食費や修学旅行の費用だけではないの?」と、上の数字を見て思われた方もいるでしょう。

 計算しているのは、学校に払うお金(授業料や修学旅行・遠足費、PTA会費など)、通学費や制服代、給食費など、通学に伴ってかかるお金だけではありません。家庭で買う学習机やパソコン、参考書をはじめとした図書、学習塾、公開模試などのテスト代、さらピアノや絵画などおけいこごとの月謝、水泳や野球、サッカーなどスポーツ活動に必要なお金など、子どもを教育するのにかかる費用のすべてが含まれています。

 中学生にスポットを当てて、「学校外活動費」(塾、おけいこごと、スポーツ活動など)の学年ごとの推移を見てみましょう。公立中学では1年:24万円、2年:27万円、3年:43万円と中3で一気に負担額がアップ。私立中学では1年:18万円、2年:19万円、3年:21万円と高校入試のない余裕がうかがえます。公立中学3年生は、ほぼダブルスクール状態といってもいいのではないでしょうか。

●大学4年間ではどのぐらいの費用が必要か

 高校から大学へ進学し、4年間在学するにはどのぐらいの費用が必要でしょうか。(株)日本政策金融金庫の調査による「教育費負担の実態調査結果」(平成27年度)からその費用を一覧しましょう。

国公立大学:314.3万円(入学時点累積)、690万円(4年在学費用累積)
私立文系:339.1万円(入学時点累積)、908万円(4年在学費用累積)
私立理系:338.4万円(入学時点累積)、1050万円(4年在学費用累積)

 ちなみに、大学4年間の費用は以下の通りです。

国公立大学:81.9万円(入学費用)、375.6万円(在学費用4年間)
私立文系:106.7万円(入学費用)、568.8万円(在学費用4年間)
私立理系:106万円(入学費用)、712万円(在学費用4年間)

 在学費用には、自宅外通学者への年間仕送り額(平均125万円)なども加味されています。平均世帯年収は834万円。世帯年収に占める在学費用の割合は平均17.8パーセント。教育費を捻出するために「教育費以外の支出を削る(29.9パーセント)」「奨学金を受けている(22パーセント)」「子供がアルバイトをしている(20.1パーセント)」など、各家庭の涙ぐましい努力もデータ化されています。

●「高専へ進む」という選択肢

 ちなみに、高校卒業時に高専・専修・各種学校を選んだ場合の費用は、平均して251万円(入学時)550万円(在学費用2年間)です。
 
 オール公立派の家庭としては、子どもが高校を選ぶ段階で5年制の高等専門学校(高専)をも視野に入れたほうがいいかもしれません。高専は国立51校、公立3校、私立3校で1学年あたりの入学定員が全国で1万人程度。「ロボットコンクール」などでしかお目にかかる機会がありませんが、実学が身についているため就職に困らない、卒業時に専修科や大学への編入学ができるなどのメリットがあるのです。

●オール公立でも1200万円超、オール私立では2700〜2800万円にも

 大ざっぱに見ると、幼稚園から大学まですべて公(国)立を選んだ場合の学習関係費は1213万円、すべて私立で文系に進めば2678万円、理系の場合は2820万円という数字が出ました。

 ではこの金額、どう判断すればいいのでしょう。単純に金額の多少で判断するのではなく、その後の就職や仕事などにどうつながっていくか、そこまで見なければ判断はつきませんね。いずれにしても、20年近い歳月にわたっての負担であるため、これからお子さんが生まれるという方は参考にしていただければ。


<参考サイト>
・文部科学省ホームページ(平成26年度子どもの学習費調査)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1364721.htm
・(株)日本政策金融金庫ホームページ「教育費負担の実態調査結果」(平成27年度)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_h27.pdf