広島県神石高原町の「ピースワンコ・ジャパン」には広島県で保護犬になった500頭を超える犬たちが暮らしている。主な活動は動物愛護センターからの犬の保護や、里親への譲渡活動、ドッグランやドッグホテルの運営など。神石高原町からの支援を受けながら活動しており、地域とのつながりも強いという。

 そこで暮らしている犬、 「夢之丞(ゆめのすけ)」 は他の犬たちとは違い、ある仕事に就いている。


 2010年11月、ピースワンコ・ジャパンのスタッフが広島県動物愛護センターを訪れた。 ガス室前にぽつんと置かれたケージの中で生後3〜4ヶ月の子犬が震えていた。ガス室が満杯になり、たまたま殺処分が延期されたところに、ピースワンコ・ジャパンのスタッフが来たのだった。この子犬には夢と希望を託す意味を込めて夢之丞(ゆめのすけ)と名付けられた。

 夢之丞の現在の仕事は「災害救助」。災害時に瓦礫などから人を捜し救助するよう訓練された犬のことを「災害救助犬」と呼び、夢之丞も国内外の災害現場で活動している。今もなお、広島県神石高原町の災害救助犬訓練場では、ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダーである大西純子さんらと訓練している日々だ。


 犬が嗅覚を使い、人の匂いをたどって吠えて知らせてくれるのが災害救助犬の仕事。夢之丞の救助訓練は、施設内にある災害現場を模した訓練場で行われ、この訓練場にトレーナーが隠れて、瓦礫に潜むトレーナーがどこにいるのか当てる訓練だという。災害救助の勘が鈍らないよう、訓練はほぼ毎日行われている。

 「ピースワンコ・ジャパン」のプロジェクトリーダー大西さんはこのように話す。

夢之丞との出会い

大西さん: 災害救助犬というのは、シェパードだったりラブラドールレトリバーだったり純血種の中でも仕事に向いている「使役犬」に分類される犬が多いです。私たちは広島県内で多くの犬たちが殺処分されるという現状を聞いて、処分される犬の中から素質を見出して訓練し、災害救助犬にすることができたらと思いました。救助犬という仕事をしている犬がいる中、広島県だけではなく日本全国で動物愛護センターで処分されている犬がいます。訓練次第では社会に役立つ犬になるってことを知っていただきたいと考えています。


―――?夢之丞との出会いは?

大西さん: 夢之丞にとって良かったのか、迷惑だと思っているのか、夢之丞に聞いてみないと分からないのですが……災害救助犬の候補となる犬をもらいに動物愛護センターに行ったんです。でも、残念ながらその日は殺処分が行われた日で。でも施設の中がどうなっているのか知りたかったので「見せて欲しい」とお願いしました。ふと見ると小さなケージが残っていて、そこに茶色い犬が一頭いたんです。


 当時は職員も「(殺処分が行われたばかりなのに)なぜ犬がいるのか分からない」という状況だったと話す大西さん。しかし、大西さんは「それが私たちにとって運命だった」という。

 誰もいないはずだった場所に夢之丞が奇跡的に残っていた。救助犬の候補となる犬を探していて、そこで夢之丞と出会ってしまった。ここから夢之丞の挑戦が始まった。


―――?最初からうまくいきました?

大西さん: いえいえ。動物愛護センターの方には「救助犬はおろか飼い犬ですら難しい」と言われました。動物愛護センターから連れて帰って、餌を与えても、私たちが見ている前では食べない。みんな部屋から出て行って一人ぼっちにしたら、コソコソと食べている。覗きにいくとササっと隅っこに行ってしまう。ちょっとずつ話したり、夢之丞の好きなものを与えたり、そうすることでお散歩もできるようになりました。


 お散歩ができるようになり、他の犬とも触れ合えるようになった夢之丞。そこから、少しずつ訓練を行い、ステップアップしながら災害現場で救助犬として働けるようにまでなった。

 広島県は2016年9月末の時点で196日間、さまざまな団体の助けを元に殺処分ゼロを続けている。夢之丞の挑戦はまだ続く。



©AbemaTV

?? 「殺処分寸前から救助犬になった犬 〜夢之丞の物語〜」はAbemaTVペットチャンネルで10月16日(日)22時30分〜22時57分に放送

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