10月13日、2016年のノーベル文学賞はシンガーソングライターのボブ・ディランに授与されることが発表された。受賞理由は「新たな詩的表現を創造した」ことだという。歌手の文学賞受賞は今回が初めて。

ボブ・ディランは1962年にデビュー。公民権運動やベトナム戦争で揺れるアメリカで、戦争や人種差別に反対するメッセージ性の強い「風に吹かれて」などのプロテストソング、“抗議の歌”を次々と発表すると、若者の絶大な支持を得て、アメリカ社会に大きな影響を与えた。その後、ボブ・ディランはエレキギターを使ったロック色の強い「ライク・ア・ローリング・ストーン」でさらに幅広い層から人気を獲得。独特のハスキーボイスでギターをかきならす独自の世界は、日本でも多くの歌手に影響を与えている。


同日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)には、ラジオDJ、ナレーター、タレントの小林克也氏が登場。ボブ・ディランの受賞に対しメッセージを寄せた。

??受賞の知らせを聞いて、どう思われましたか?


「ボブ・ディランと僕は同じ年齢なんですよ(笑)。『とうとうやったか』と思いました。というのは、10年以上前、ディランは候補にあがっていると言われていて、僕らは、『ディランが取るかもよ!』っていう感じで待っていたんです。でもそのままずっと受賞せずにいっちゃって、ディランみたいな詞をつくって人に楽しんでもらうミュージシャンは文学賞はもらえないのかって思っていたから、今回『ノーベル賞えらい!』っていう感じです(笑)」


??歌手が文学賞を受賞したということの意義について、どう思われますか?

「ちょっと昔を振り返ると、ロックンロールの前からも流行歌の世界ってあったわけじゃないですか。それが1950年代の終わりくらいから、ロックンロールはやっぱり子供の歌だったなとか、ティーンエイジャーにも解放されたなとか、いろんな世代が楽しむようになったときの60年代にボブ・ディランが出てきたんです。

そのあとビートルズが出てくるんですけど、ボブ・ディランの歌はメッセージソングだっていうことで、“ディランこそ我々のメッセージを伝える人だ”と、ディランにいろんな意見を求めたりするようになる。ところがディランは『冗談じゃないよ、俺はただの歌うたいだよ』と、逃げるんです。

ディランは、たまたま最初の戦争反対の歌を書いた人だったんですけど、彼は人物や歴史といったものをテーマに必ず詞を書くんです。それが、いつも時代の空気を反映している。『ライク・ア・ローリング・ストーン』っていう名曲、これは一世を風靡した人が、落ちぶれてどういう風な気持ちなんだい、転がっている石みたいだろうっていう歌ですが、ものの見事に、社会の物質的なものに酔いしれて、そのあと落ちぶれていった人のことを指している。精神的な、もっと内面を大切に生きようよとか、人によって受け取り方は違うんですけども。

アメリカでは『the times they are a-changin'』“時代は変わっているんだよ”っていう言葉があるんですが、これはディランのヒットソングのタイトルがそのまま流行語になったんです。常に、メロディがついた詞で世の中を歌っている。それが、優れた小説と同じように評価されて、(ノーベル文学賞の)新しいスタイルってことですよね。

音楽のことでいうと、ビートルズのジョージ・ハリスンが、ボブ・ディランの親友なんですよね。ハリスンがいみじくも、『今から500年経って振り返ったとき、ビートルズやプレスリーよりもボブ・ディランが残るだろう』って言っているんです。それくらい、彼の音楽性は時代を象徴している。決してプレスリーやビートルズほどレコードが売れたわけではないんです。

それからディランは、スーパーな人のように見えるけれども、大変なラジオおたくで、大人になってもラジオが好きで。表に出ないで歌だけを作っていたような人ではなくて、社会とずっと一緒にいた人なんです」

とコメントしていた。