東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場の見直しが検討されている。現在、東京湾に「海の森水上競技場」を建設中だが、費用が69億円から491億円に膨れ上がったほか、海水のぬめりが選手の微妙な感覚に影響すること、風が強いこと、近くの羽田空港を飛行機が頻繁に離発着することなどから否定的な声が上がった。そこで、代替案として浮上した宮城県の長沼ボート場を小池百合子東京都知事が視察。宮城県の村井嘉浩知事とも現地で会うとともに、仮設住宅を流用した選手村のモデルルームも視察した。

小池氏は「被災者の方々がお住まいになっていた仮設住宅を活用するというところでは、(復興五輪の)ストーリーとして国内ではすごく分かりやすい」と語った。

15日、視察に同行した村井氏が『みのもんたのよるバズ!』(AbemaTV)に出演。番組MCのみのもんた氏とやり取りをしている。みの氏は宮城県のPRを行う「みやぎ絆大使」の一人だ。村井氏は長沼での実施可能性についてこう語る。

「可能性はまったくわからないです。小池さんが決めれば決まるものでもないですし。ただし、小池さんが協力しないと海の森はできません。どちらかがご理解いただかなくてはいけないのと、どちらかが折れるか、ですね。『復興五輪』については、小池さんがずっとおっしゃっていることです。招致する時はみなさん『復興五輪』と言っていましたが、最近は誰も言わないので、よくぞ言ってくれたと感謝しています。」

また、今回の仮設住宅を選手村とすることは村井氏のアイディアだという。この仮設住宅は「ユニット工法」により工場で組み立てて、トレーラーで運ぶタイプのものだ。そのメーカーのものであればどこにでも運んでいける。元々、発注していた住宅メーカーは2社あったが、これを1社に一本化してモデルルームを作っていたようだ。村井氏によると、視察した人々は、仮設住宅があまりにもきれいになっていたため驚いていたという。そして、普通に住宅として住んでも問題ないと村井氏は自信を見せた。

みの氏が「名乗りを上げた最大の根拠は?」と聞くと村井氏はこう答えた。

「私が名乗りを上げたわけではないです。長沼が候補地になってるのを知りませんでした。予選段階から(候補地としては)落ちていたという感じでした。小池さんが当選されて、都政改革本部の上山先生(信一・慶応大教授)からメールがきました。上山先生とは、震災後に知り合いになっています。その中で、五輪施設見直しがあり、ボート場の候補地の一つが長沼ということを伝えられました。電話でもいいから打ち合わせをと言われ、私は東京に行き、上山先生と会いましたが、その時に小池さんもいらっしゃいました。私は『やりたい』と伝えました。『やらない』と言ったら終わっていましたね。小池さんからは『上山先生と候補地の一つとして話し合ってね』と言われました」

さらに、距離の問題については別の発想をすべきだと村井氏は語る。

「『遠い』と言う時、日本地図を拡大する地図を出す人がいますが、地球儀でやってほしいです。東京と宮城の地図なんて、世界地図では点ぐらいの距離です。なぜ日本の地図で、しかも北日本だけ拡大し、『こんなに遠い』となる。意味がないですよ。」

五輪組織委は長沼の整備には350億円以上かかると言ったが、村井氏は150〜200億円でまかなえると反論。そのうえで最後に復興についてこう語った。

「震災から5年7か月過ぎて、いまだ仮設にいる人が多い。これが被災地の現状です。段々、皆さん忘れていく。被災者にとっては忘れ去られることがつらいことです。今回は小池さんのおかげで良いキッカケができました。」