東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー競技場について、都内の「海の森水上競技場」から別の場所に変わる可能性も出てきた。現在、日本ボート協会と都の調査チームが意見交換中だ。そのきっかけは、海の森水上競技場の当初予算が69億円だったのに491億円に膨れ上がったことと、選手からも反発が出ていることだ。

15日に放送された『みのもんたのよるバズ!』(AbemaTV)では五輪出場経験5回のボート選手・武田大作氏の意見を紹介した。「羽田空港が近く、飛行機が離発着を頻繁にするため集中できない。基本的に我々は基本的には淡水で漕いでいます。海水の方がぬめっとしているし、浮力も違う。最大の問題は横から吹き付ける風です。これが結果に影響を与える。選手をもてなす場としては不適切です」と語った。

一方、候補地として挙げられた宮城県の長沼ボート場について、法政大学のヘッドコーチ・波間昭司氏は2000メートルのコースを常設し、国際基準を満たしているのは長沼しかないと述べた。さらにこう続ける。

「私は学生を指導しています。海の森・長沼両方とも五輪の時の需要はあるでしょう。でも、終わった後どうする? 競技場というものは、国際大会実施とアスリート育成の両方の意義がありますが、海の森も長沼も両方を達成するのには向いてないんです。というのもボート人口は(埼玉の)戸田に集中しているからです。全国の高校生がまずは戸田に集まる。そういう人がアスリートとして五輪に集まるわけですし、今、戸田では1000人ぐらいが毎朝練習をしているのです。」

練習環境という面も踏まえると戸田こそが最適な場所だとしつつも、戸田は国際基準の幅13.5メートルの8レーンに満たない6レーンしか取れず、国際基準は達成していない。そこで近くの「彩湖」がクローズアップされているのだ。

整備費用は長沼が351億円(ただし、宮城県は150〜200億円と反論)、海の森が491億円で、彩湖が90億円だという。波間氏も「彩湖が一番良いと思う」と語った。テレビ朝日情報番組の調査によると、ボート選手100人に「どこの会場がいいか」を聞いた結果、海の森が18人、長沼が16人、彩湖が66人となった。彩湖のメリットについて波間氏はこう語る。

「水質としては淡水。風の影響を受けにくいというか、突風が吹く環境ではないです。車で5分のところに、戸田漕艇場があります。ここは、前回の東京五輪のボート競技場ですね。20以上の強豪大学などの合宿施設が整っています。五輪終了後も彩湖はレガシーになりえます。戸田の練習水域を使用する人は日常でも使えますし、第二の練習水域として十分活用できますよ。海の森は練習水域として問題ありますね。大会は世界各国、淡水でやっているんですよ。そこで結果を出さなくてはいけない。海の森で練習したからといって世界各国で良い成績を残せるかは別なんです」

これに対し、コメンテーターの作家・鈴木涼美氏は「復興は復興で大義があるけど、埼玉も埼玉でウリができるのは良いと思う」と述べ、コラムニストの吉木誉絵氏は「アスリートファーストで考えると、彩湖かなとは思う。360kmは遠すぎませんか?」と語った。これには漫画家・倉田真由美氏も同意。大会終了後のアスリートファーストを考えると戸田では? と述べた。