和歌山県内を通るJR紀勢線の御坊―新宮駅間のうち、28駅をアートで彩るイベント「紀の国トレイナート2016」(10月21日スタート、実行委員会主催)に向け、印南町印南原にある稲原駅の駅舎に現代美術作家の小田公子さん(36)=東京都=が描いていた作品が完成した。

 小田さんは北海道出身で東京大学仏文科卒。フランスに滞在して現代美術と出合い、美術学校で学び2010年に帰国した。トレイナートに初めて参加するため、事前に下見をして駅舎や周辺の環境とマッチする作品をどのように制作するのかを熟考。駅舎の正面入り口から見える、プラットホームにある黄色いベンチに着目した。

 ベンチは利用客にとってはいつもの見慣れた風景だが、駅の象徴として捉え、ベンチの色を周辺に伸ばして、その存在を改めて意識してもらおうと決めた。

 今月15日から制作に取り組み、地元住民も作業に加わった。黄色と灰色のペンキを駅舎内の天井と外の建物の壁や屋根に塗って仕上げた。

 プラットホームのベンチに座ると、駅舎に描かれた黄色と灰色が見え、線路の向こう側にもう一つベンチがあるように見える。また、駅舎内の天井にも同じ色でゲートに見立てた線を描き、ベンチから色が伸びて門をくぐるように人々を出迎える仕掛けにしている。