飲酒は死亡リスクを増加させるが、適度な運動を取り入れることでリスク低減は可能――運動の重要性を示す研究結果が、豪シドニー大学、英ロンドン大学の研究チームによって発表された。

研究チームは、飲酒による全死亡リスク(あらゆる原因を含めた死亡リスク)と運動効果の関係を明らかにするため、英国統計局が実施している全国的な健康調査「Health Survey for England(HSE)」8件(1994〜2006年)と、スコットランドで実施されている「Scottish Health Survey(SHS)」2件(1998年、2003年)から、運動量と飲酒量、疾患の既往歴や健康状態が長期記録されている40歳以上の男女のデータ、35万3049人分を解析している。

飲酒量は、アルコール度数によって異なる単位「ユニット」で計測されており、ビール1缶(約440ミリリットル)やグラス1杯(約175ミリリットル)のワインがそれぞれ2ユニット、度数6%以上の酒類約440ミリリットルが3ユニットに相当する。

解析の結果、男性で1日2.4ユニット以上、女性で1.6ユニット以上の飲酒習慣がある人は、全死亡リスクが13%増加していた。ただし、週に少なくとも150〜200分以上の中強度運動(ウォーキングなど)を実施している場合、このリスクはなくなっていた。

飲酒量と特定の疾患リスクでは、「適度な飲酒(男性17ユニット/週、女性11ユニット/週)」でがん死亡リスクが38%、「危険な飲酒(男性17〜39ユニット/週、女性11〜29ユニット/週)」で40%、「有害な飲酒(男性39ユニット以上/週、女性29ユニット以上/週)」で74%と、飲酒量に比例してリスクも上昇している。

また、「適度な飲酒」以下の少量の飲酒でも、運動量が少ない、運動習慣がない場合は死亡リスクが上昇している。その逆に、「危険な飲酒」の人も、運動習慣があり、その量も多い場合のみ、わずかに循環器系疾患やがん死亡リスクの低下がみられたという。

研究チームは、多くの人に飲酒習慣がある以上、アルコールを禁止するといった手段は現実的ではないが、運動を推奨することは可能であるとし、「身体活動を促すような都市計画や行政指導をすすめることが、飲酒が一般的な社会では重要になる」とコメントしている。

発表は、2016年8月31日、英国医師会のスポーツ医学分野専門誌「British Journal of Sports Medicine」に掲載された。

参考論文
Does physical activity moderate the association between alcohol drinking and all-cause, cancer and cardiovascular diseases mortality? A pooled analysis of eight British population cohorts.
DOI: 10.1136/bjsports-2016-096194 PMID: 27581162

(Aging Style)