有酸素運動による持久力トレーニングによる健康効果は、トレーニングを中止して9か月以内にトレーニングをしていない状態に戻る――そんな研究結果が、スウェーデンのカロリンスカ研究所やスウェーデン王立工科大学の研究者らによって発表された。

筋力や持久力のトレーニングは、筋組織内で代謝に関わるたんぱく質の産生につながり、心血管疾患や2型糖尿病、肥満の予防および治療に有効であるとされている。

スクワットや腕立て伏せといった筋トレを対象にした過去の研究では、筋トレをやめても、鍛えた筋肉にはトレーニングの「記憶(マッスルメモリー)」が残っており、再開するとすぐにたんぱく質の産生も始まることを確認していた。しかし、持久力トレーニングは筋肉への影響や鍛え方が異なるため、検証が求められていた。

研究チームは、特別なトレーニングなどはおこなっていない被験者23人を対象に、ひざから下に、あまり負荷をかけずに前後に動かすという持久力トレーニングを、1回45分、週に4回、片足のみに3か月間実施。

トレーニング期間の前後に、筋組織のサンプルを回収し、9か月の休止をはさみ、被験者のうち12人のみを対象に、今度は同様のトレーニングを両足に3か月実施し、筋組織を回収。それぞれの組織から遺伝子を分析している。

その結果、トレーニング後の筋組織はトレーニング前に比べ、遺伝子活性が起き、特定のたんぱく質をより多く産生するようになっていることがわかった。この遺伝子活性は休止期間をはさむと完全に消失し、再度のトレーニングによってまた発現していたという。

ただし、最初のトレーニング後の遺伝子活性に比べ、2度目のトレーニング後は微妙に早く発現しており、研究者らは「マッスルメモリーを否定する結果とはなったが、筋肉以外のどこか別の部分に持久力トレーニングの結果も記憶されており、以前の『健康的』な状態に戻りやすいのではないか」と指摘している。

発表は、2016年9月22日、オープンアクセスの米科学雑誌「PLOS GENETICS」に掲載された。

参考論文
The Impact of Endurance Training on Human Skeletal Muscle Memory, Global Isoform Expression and Novel Transcripts.
DOI: 10.1371/journal.pgen.1006294 PMID:27657503

(Aging Style)