本当の自分を知りたい…。情報や人間関係が複雑になった今の社会だからこそ、自分を見失う人が増えているのかも? 

ところが、100年以上前のドイツで既に、ルドルフ・シュタイナーが、“自分を知り、自分自身の生命エネルギーを活性化させる大切さ”を訴えていました。彼が提唱した人智学(アントロポゾフィー)という思想体系は、教育、医療、農業、芸術など、あらゆる分野に及びます。

最近、日本の医療現場では、改めてその可能性に意義を見出す医師や看護師が増加。人智学医療の根本は、病気ではなく、その“人”自身を診ること。

「これまで自分を顧みる機会がなかった人たちに、自分に出会う場を提供したいと考えています」とは、日本で初めてアントロポゾフィー認定クリニックとなった、すみれが丘ひだまりクリニック院長の山本百合子先生。

患者に必要な薬を処方するだけでなく、カウンセリングを元に、音楽療法、色光セラピー、独特なタッチのオイルマッサージ(アインライブング)など、その人に合ったオーダーメイドの施術を行います。大切なのは、なぜその病気になったのか、それまで無視していた自分の感覚に気づくこと。病気を治すだけでなく、肉体、生命、感情、精神と、人間を構成する4つの要素のバランスを整えていきます。

「いのちの声を聞き、自分らしい生き方を見つけてもらうことを目指しています」(山本先生)

そんな人智学をより深く知りたい方は、次の本や考え方を参考にしてみて!

■シュタイナーの考え方を2冊の本から学ぶ。
シュタイナーは、不可思議な 人体に対応させる。人間の存在の謎に光を当て、感覚や個性、魂などを様々な角度から分析。『人智学・心智学・霊智学』¥1,300(ちくま学芸文庫)は、シュタイナーが描く精神世界を知る良書。『人間の四つの気質』¥2,200(風濤社)は、人智学を日常生活で生かす実践法を提言。

■植物をひっくり返し、人体に対応させる。
人智学では、人間の身体のシステムと、植物の花、葉、根の3つの部分を対応させる。冷たくて堅い根の部分は人の頭部に集中する感覚システム、呼吸する葉の部分は身体の中央、花と実は再生代謝システムと考える。


※『anan』2016年9月28日号より。写真・多田 寛(DOUBLE ONE) イラスト・ナカイミナ 文・板倉ミキコ