お世話になった人に感謝の気持ちを伝えたり、大切な人に季節の挨拶をしたい時、あなたはどうしていますか。

今の時代、メールなら簡単に用件を伝えることもできるけれど、たまには机に向かい、心のこもった手紙をしたためてみるのも、大人ならではのたしなみ。

「いざ手紙を書こうと思っても、『書く言葉が思い浮かばない』とか『字が下手だから』といってためらう人もいるかもしれません。ですが、私は“手書きする”ということ自体に意味があると思っています。必要以上に畏まるのではなく、自分自身の等身大の言葉を贈ることが大事」(手紙文化振興協会代表理事・むらかみかずこさん)

それでも、尻込みしてしまう人は、道具の力を借りて一歩を踏み出してみるのも手。

「実際に、手紙を受け取る側の立場に立ってみると、印象に残るのは手紙の内容だけではなく、全体の雰囲気だったりします。例えば、今の季節にぴったりなレターセットや、それに合う切手やシールが使われていると、とても丁寧で気の利いた印象を受けるもの。トータルのコーディネートに目を向けてみるのも、手紙の楽しさを知るひとつのきっかけになるかもしれません」

そこでここでは、知っているようで知らない手紙道具の選び方のコツを解説。

「大事なことは相手への心配りと、自分が心から気に入っているアイテムを使うこと。お気に入りのペンやレターセットを持っていれば、書きたい気持ちも自然と高まるはず。苦手意識にとらわれずにチャレンジしてみてください」

以下では、手紙の基本に関する素朴な疑問について、むらかみさんが回答します。

Q.縦書きと横書きの違いを教えて!
A.縦書きが比較的フォーマルだけど、書きやすいほうで始めよう。
「正式なお礼状やお詫びの手紙などの場合は、よりフォーマルな印象の縦書きが原則。ですが、それ以外の手紙であれば書きやすいほうで大丈夫。あまり気にする必要はありません。文章を縦書きするのが苦手な人は、横書きからチャレンジしてみるのがおすすめ。たとえ目上の人に送っても、失礼にはあたりません」

Q.ペンの色、とりあえず黒にすればいい?
A.青色をチョイスすると、文字が明るく見え、読みやすい文章に。
「ベーシックは黒ですが、私のおすすめは青色のペン。黒に比べて自分の文字が明るく見えますし、爽やかで誠実な印象を与えることができます。紙との相性も考えて選びましょう。緑や茶色など、他の色でも構わないのですが、なるべく赤は避けたいところ。そして、お悔やみの手紙では黒いペンを使うのがルールです」

Q.手紙が上手に見えるコツは?
A.余白をたっぷりとって書くこと。そのために、便箋は枚数の多いものを持つと安心。
「文字をびっしり書いて余白を埋めようとするのは、手紙を書き慣れていない人にありがちなクセ。でも実は、ある程度の余白があったほうが読みやすく、見た目も軽やかになります。書きたい内容が長くなっても、数枚の便箋に分ければOK。あらかじめ、綴りの多い便箋を用意しておくと気兼ねなく使えます」

◇むらかみ かずこさん 手紙文化振興協会代表理事。通信講座「手紙の書き方講座」や「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」を開発・運営。著書に『おとなの手紙時間』(サンマーク出版)など。


※『anan』2016年10月5日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・田中美和子 文・瀬尾麻美