戦争を経験したり、物がない苦労を味わったり、なによりも女として今より格段に制約の多い生き方を強いられていた昭和の女性たち。

“昔の人”という色眼鏡を外して、彼女たちの行動に触れてみれば、若々しい感性に驚くと同時に、その豪胆さに勇気づけられもする。空気を読んで、上手に失敗を避けて、いつも誰かとつながって…現代の私たちの生き方の方が、なんだか息苦しく思えてくるのが不思議。もっと思い通りに、もっと自分らしく生きたいと憧れる人のため、人生の先輩の、凛と筋の通った生き方をご紹介します。

■仕事に生きつつ、暮らしを愛おしむ。
女ひとりで身を立てていくのは今よりも大きな困難を伴うことでした。向田邦子や森茉莉、桐島洋子など、仕事に打ち込みながらも、自らの美意識を大切に、暮らしを整えていた人のしなやかなこと! 慌ただしい毎日をもう少し丁寧に、と力づけられる思いです。

■誰かのためにまごころを尽くす。
他人に尽くすなんて、自分を犠牲にするようで古くさい? でも、そこに確かな喜びがあるなら、人として本当に尊い生き方かもしれません。武田百合子や幸田文のように、夫や父を思って過ごす日々が後年、文筆家としてものの見方に奥行きを与えたのもその証拠。

■新天地へ飛び出す勇気。
海外旅行など夢のまた夢だった時代に、大胆にも遠い外国へ飛び出していった女性たちがいました。高峰秀子や兼高かおる、石井好子などの冒険譚を読めば、縮こまった背中を押されるかのよう。現状に満足せず、何かをつかみとろうとする“貪欲さ”を見習いたい。

■心のままに恋をする。
恋する気持ちは人間の本能。男性と自由に交際することがままならなかった時代でも、胸を焦がす激しい思いは、今と何ら変わりなどなかったはず。恋多き女として知られる宇野千代や瀬戸内寂聴などの姿に、自分の情熱や欲望に素直に従う大切さを教えられます。


※『anan』2016年10月5日号より。イラスト・村上テツヤ