なにこのふざけた名前に、ふざけた音楽! さらっと彼の作品に触れた人は、もしかしたらそう思うかもしれません。でもそれ、大間違い! 岡崎体育、27歳。

地元の京都でバイトをしながらメジャーデビューを掴んだ、今最も注目されている新人ミュージシャンの一人。オリジナリティ溢れる音楽を作る彼は、意外と消費者意識の高い、“ちょけてる”男子でした。

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――デビューアルバムは、メンバーがいると取り分が減るからソロがいいと歌う「FRIENDS」など、思わず笑ってしまうコミカルな曲が話題になりました。一方で、切ないメロディと歌詞の、聴かせる曲も入っていました。その幅広さに驚いたのですが、どっちが本当の岡崎体育なんですか?

岡崎:もともとインディーズで活動していたときから、ライブではみんなで歌うような楽しいネタ曲をやって、一方CDには宅録のマジメな曲を入れるというスタイルでした。だからどっちも岡崎体育ではあるんですけれども、メジャー1枚目は名刺代わりの一枚になるわけだから、両方入れたいと思ったんですよね。僕を知らない人に、まずはネタ曲で面白がってもらい、そこからマジメな曲に行き着いてもらえたらいいなって思って。でも、今までの曲を並べただけじゃ目立たないし、いくら大きなレコード会社から出してもらえるとしても、僕自身に話題性がないと、発注つかないですよね。それで、“強く打ち出せる曲を作るから、リリースを少し遅らせてほしい”とお願いをして、「MUSIC VIDEO」を書き下ろしました。

――音楽のPVの“あるある”を解説する歌詞の曲ですね。あるあるを映像化したビデオで、岡崎さんを知った人も多かったのでは。

岡崎:今の時代、動画投稿サイトとか、自分を表現する場所ってたくさんあるわけで、昔はメジャーデビューできたら「やった!」って感じだったと思いますが、今はそこからが大事。何かパンチを打たないと、そのまま流されちゃう。「MUSIC VIDEO」みたいな曲は、ネタ曲だし、狙って作った曲でもある。そういう意味で、バッシングや批判が出やすいリスクの高い作品ですが、それでもやっぱり話題にならなきゃ、ものを作る意味はない。あの、媚びてることがかっこ悪いって風潮、あるじゃないですか。「MUSIC VIDEO」は、媚びへつらってる曲に聞こえる人もいると思う。でも、それも振り切って極めれば、逆にカッコいいと思うんですよ。もちろん僕は、信念を持って自分の音楽を発信している人も、カッコいいと思いますし。いずれにしても、思い切りやりきることが大事。

――それはこういう取材や撮影、ライブにも言えること?

岡崎:はい。自分がイケメンじゃないことは理解してますが、それをわかってる上でカッコつけまくれば、それもそれでカッコいいと思うし、ライブでちょけてるのも…ちょけてるってわかります?

――標準語だとなんでしょう?

岡崎:調子に乗る、とかが近いかなぁ。で、ちょけてるときも、照れてたらお客さんに伝わるんですよ。だからどんなことでも、やる以上は恥を捨てて、全力でやる。

――なんだか、ご自身の存在や売り出し方に対して、非常に客観的なスタンスですね?

岡崎:一人っ子だから、ですかね。家に同年代の子がいないから、僕は逆に、自分に対して客観的になりがちだったのかも。一方で一人っ子は一人遊びが多いから、必然的に何かを作る時間が増えますよね。で、親は作ったものを全面的に褒めてくれるんで、その快感を覚えちゃうんです。結果、“もっと褒めて! 褒められたい〜!”って強く思うようになる。それが僕の活動の根源ですね、今も。

◇おかざき・たいいく 1989年生まれ、京都府在住。中学時代に作曲に目覚め、大学でバンド活動を。半年のサラリーマン生活を経て、'12年より“岡崎体育”名義で音楽活動を始動。'16年5月にアルバム『BASIN TECHNO』(ソニー・ミュージック)でメジャーデビュー。

◇焼酎「JINRO」のCMに出演中。CMで流れているオリジナルソング「割る!」が、iTunesなどで配信限定発売中。現在フジテレビほかで深夜に放送中のアニメ『舟を編む』のオープニングテーマに抜擢された『潮風』が、12/7に期間生産限定シングルとして発売予定。ライブなど、その他情報はオフィシャルサイトで。www.okazakitaiiku.com/


※『anan』2016年10月12日号より。写真・下屋敷和文