世界的な人気を誇る猫マンガの金字塔『チーズスイートホーム』を3DCGアニメ化した『こねこのチー ポンポンらー大冒険』が10月2日より放送スタートする。
こなみかなた原作の『チーズスイートホーム』は2008年にもTVアニメとして放送されたが、今作ではこれまでとは様相をガラリと変え映画『キャプテン・ハーロック』や初音ミクのライブ映像などで知られるマーザ・アニメーションプラネットが制作。フルCGアニメになった子猫の「チー」たちがあたたかな日常を届けてくれる。 原作者・こなみかなた、今作の監督を務める草野公紀に、放送に向けた意気込みと3DCGとして画面に蘇るチーたちの魅力について伺った。
[取材・構成:川俣綾加]

『こねこのチー ポンポンらー大冒険』
2016年10月2日(日)スタート テレビ東京系列6局
http://www.chissweethome.com/

■直球勝負のファミリー向け3DCGアニメ

──11年間の長期連載、そして世界で猫ブームを巻き起こした人気作が再びアニメになるということで楽しみにしている人も多いと思います。3DCGアニメ化が決まったと聞いてこなみ先生、草野監督はどんな感想を抱きましたか。

草野公紀監督(以下、草野)
「嬉しい」の気持ちが1番にやってきました。面白いと感じていた原作のアニメ化で、しかも初監督をやらせていただけるなんて。こなみ先生ともお会いできたうえに世界が一気に広がって人生が変わったとすら感じます。

こなみかなた先生(以下、こなみ)
3DCGになったチーを見てみたい気持ちは以前からありました。マーザさん(マーザ・アニメーションプラネット)で仮起こししてくださったチーの3Dモデルを見てみると、プロポーションがとても素晴らしくてびっくりしました。絶対に草野さんたちに作っていただきたいと強く思いましたね。

草野
ありがとうございます! 嬉しいです。

──ひとくちに3DCGアニメといっても、様々な見せ方、作り方があると思います。企画が立ち上がった時に草野監督はどんなアニメーションにしていこうと考えたのでしょうか。

草野
3DCGにすると、ピクサー作品のようにリアルな表現もできるし、カートゥーンっぽい表現にもできます。選択肢の幅が広いんですよね。『こねこのチー』では子猫のヨタヨタしたかわいらしい動きや、野生を感じさせるしなやかな動きの気持ち良さも表現したいと考えました。原作で描かれるコメディな動きも大切にしたいですね。基本的には色々なシチュエーションに臨機応変に対応できる準備をしています。

──マンガを描く時は、こなみ先生の頭の中ではチーが立体的に動き回っているのでは。完成した映像を見てチーの印象はいかがでしたか?

こなみ
チーやヨウヘイたちのことを立体的に捉えていると自分では思っていたけれど、草野監督が作ったチーを360度ぐるっと回転させて見たら、想像で思い描いていたチーは全く立体的じゃなかった! と思いました(笑)。


──アニメ化に際してこなみ先生から「こうして欲しい」「これはしないで欲しい」といった要望はありましたか?

こなみ
どうだったかな、あまり記憶にないですね。

草野
とはいっても、こなみ先生のキャラクターを僕らが最初から最高の形で作れるかというとそれはまずありえないので。3Dモデルをチェックしていただいて、模様の入り方など僕らが捉え違いをしていた部分にご意見をいただくことで形にすることができました。

こなみ
記憶にないのはたぶん、マーザさんが作ってくれるビジュアルが好きだから。いつも私が思い描いていた以上のものを出してくださるので、各工程でチェックをする時はいつも嬉しい驚きがあって。

草野
「これはチーじゃない」と言われたらどうしようと思いながら作っていたので、信頼してお任せいただき安心しました(笑)。やっぱり、キャラ崩れって起きるんですよ。アニメーターのちょっとしたセンスの違いでどうしても出てきてしまう。そこを何度も修正してチーらしさを作っていく。一方で、チーっぽくないけれど面白い芝居になっていることもあります。

──そういう場合はどう判断していったのでしょう。

草野
芝居の面白さは残しつつ、チーらしくなるように寄せていきました。

──スタッフの考える芝居の楽しさと原作のチーらしさ、両方をブレンドしているんですね。“チーっぽい動き”はどんなものでしょうか。

草野
表情です。寄り目になった時に黒目の位置が左右で微妙にずれていたり、モノを見る時に黒目を動かし過ぎたりすると違ったキャラクターに見えてしまう。場面によっては黒目だけ動かすことも必要ですが、基本的には顔ごと動かすほうが“チーっぽい動き”。


──こなみ先生から見た今作のビジュアルの魅力を教えてください。

こなみ
3Dになったヨウヘイの後頭部から首、背中の流れが本当に秀逸なんですよ。

──フォルムが良いということですよね? 後頭部から背中にかけての。

こなみ
そうです。私もこんな風に描きたいと感じました。

草野
ありがとうございます。モデラーに伝えなきゃ(笑)。

こなみ
粘土で立体物を作る時も微妙な角度や丸みに魂を込めますよね。そういう情熱が伝わってくるフォルムなんですよ。ヨウヘイの頭部から首筋に落ちて胴体とつながるまでのあの流れ。うっとりしますよ。

草野
確かに、キャラクターの頭や髪の毛をどう表現していくかは決断が必要な部分でした。本来はふわっとしたりサラサラしていたりする存在。でも今作では粘土とまではいかないけれど、一度カチッと造形して決め込まないといけない。どういった情報量で作るか、髪の毛がはねる感じをどう作っていくか悩ましかったです。モデラーと意見交換をしながら、ひと目でそのキャラクターだとわかる造形に仕上がりました。それは髪の毛についてよい回答を出せたからかもしれません。

──過去のアニメでもチーを演じてきたこおろぎさとみさんが、今作でも再びチーを演じていますね。

こなみ
最初に私が、チーは絶対にこおろぎさんにお願いしたいと伝えていたんです。

草野
僕もそれ以外の選択肢はないと思いました。こおろぎさんがチーの成分のうち半分を占めているので。

こなみ
そうなんですよ。本当にその通り。

──チーを再び演じることが決まって、こおろぎさんはどんな反応でしたか?

こなみ
数年ぶりにアフレコ現場でお会いしたら、「また会えて嬉しい」と握手しました。とても喜んでくださって私も嬉しいです。

草野
この先もずっとチーを演じたいと言ってましたね。

──では最後に、アニメ!アニメ!の読者にメッセージをお願いします。

こなみ
マンガで描かれているチーも、今作のチーも、それぞれ別の世界があって引き込まれる作品になっています。3DCGになっているチーが公園を歩いているだけですごくかわいくて楽しい。異次元に入り込むような楽しさがあるので、ぜひ見てください。

草野
『こねこのチー』は直球勝負のファミリー向け作品です。最近そういった作品は減っていると思うので、きっと新鮮に映るはず。声優のみなさんも過去作とは違う方にお願いしていますが、みなさんハマり役ですよ。フルCGアニメーションで挑んだTVシリーズ。楽しんでいただければと思います。