2016年9月24日より劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』の4DX、MX4D版が上映スタートした。本作では「週刊少年ジャンプ」で1996年から2004年まで連載されていた原作の、その後の物語を描いている。4Dでの上映では、振動や煙、水などの演出で迫力ある劇場版を体験できる。
20年の時を経ても世代を超えて高い人気を誇る『遊☆戯☆王』。アニメ!アニメ!では子どもの頃、または最近まで『遊☆戯☆王』で遊んでいた編集部とライターで座談会を実施。参加者はアニメ!アニメ!編集部のタカロクと沖本、インサイド編集部の栗本、ライターの片山の4名。その座談会の様子を前編に引き続きお届けする。
[取材・構成:タカロク]

劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』4DX&MX4D
http://www.yugioh20th.com/

■ 20周年で“遊戯”と“海馬”の物語が再び

タカロク
そもそも、映画の発表があった時どう思いました?

片山
めちゃめちゃ驚きました。それこそ、ちょっと前に歴代の主人公が集まった映画(※)があったじゃないですか…でも今回は「記念映画」ではあるんだけど、そうじゃないというか、完全に最初の『遊戯王』の二人で新しい話をやるっていう…その衝撃が凄かったですね。「どうするんだろう?」っていう。

※2010年公開『10thアニバーサリー 劇場版 遊☆戯☆王 〜超融合!時空を越えた絆〜』、本編では『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』、『遊☆戯☆王5D's』の主人公たちが時空を越えて集結した。

タカロク
私は発表時既にこの仕事をしていたので、見た瞬間思わず当時の編集長に興奮のあまり声をかけましたね。「編集長!!!『遊戯王』が!!!」みたいなテンションで(笑)それぐらい驚きました。でもまた遊戯たちが見れるんだっていう喜びが…特報を見た時はヤバかったですね。

沖本
僕も当時熱中していたので、特報を見たときは「これは見にいかないと!」と興奮しました。遊戯と海馬の“その後”が描かれるというのは、世代的に感極まりますよ。
なんて言っておきながら、実はまだ見てないんです……すみません。

栗本
そうなんですよ。やっぱり原作の続編ってのがいい。スタッフもキャラクターも再集結して、あの世代の人たちが一番見たかったものだと思います。

片山
僕は風間さん(※)とかの声がついた特報見たら泣きそうになりましたね。というかちょっと泣きました。鳥肌立っちゃって。

※武藤遊戯・アテム役の声優である風間俊介


タカロク
また遊戯たちの声が聴けるっていうのは、本当に嬉しかったです。特に『遊戯王』って毎年映画を公開する作品じゃないので、そんな中で初代の『遊戯王』を映画で描いてもらえるって…本当に特別なことですよね。

沖本
劇場版を見ての率直な感想はどうでした?

タカロク
もちろん遊戯が主人公なんですけど、海馬も主人公でしたね。原作を読み終えた時、海馬はどうしたんだろう?と思っていたので、解消された部分はありました。
あとそれぞれのキャラの成長が見えたかなと。遊戯は“もう一人の僕”であるアテムがいなくても、友人と学校生活を過ごして、いつの間にか卒業式の卒業生代表にまでなっていて…対して海馬はものすごいテクノロジーを駆使しつつも、その技術を使ってずっとアテムを追ってる。その姿を見て、この二人の立場というか、位置というか、居場所が変わったんだなって思いました。
自分の永遠のライバルが突然いなくなって、それを追うという気持ちは分かるんですけど、とことん突き詰めるところは相変わらずの社長だなぁって…(笑)

栗本
海馬主人公でしたね(笑)。ネタバレになるのであまり多くは語れないんですが、遊戯と海馬という人物のその後、そして2人のその後の描き方がとてもよかったですね。あと『遊戯王』という視点でいうと、例えば某ネタを入れてきたり、急に謎ルールが登場したり、いちいち海馬の登場シーンがかっこよかったりと、しっかり『遊戯王』してたのもよかったですね。特に海馬が登場するたびに周りの人が笑っていたのが印象的でした(笑)

タカロク
ちなみに好きなキャラクターとかいますか?

栗本
いわゆる闇マリクですね。『遊戯王』のキャラってみんな濃いですが、彼は異彩を放っていますね。もうセリフと顔が……病み付きになります。

沖本
先ほどもちょっと言いましたけど、初期の闇遊戯ですね。容赦なく悪者を懲らしめるそのドSっぷりが最高で、ダークヒーロー的な部分に惹かれました。

タカロク
私は主人公の遊戯ですね。最初は単純に闇遊戯とか海馬かっこいなー!って思ってましたけど、原作を読み終えた時に『遊戯王』は武藤遊戯の成長を描いた物語なんだなって改めて思って…だから劇場版で海馬とデュエルする姿は感慨深かったです。
といっても、闇遊戯も海馬も御伽もみんな大好きですよ!


片山
闇遊戯の「二重人格」って中二的なところで憧れますよね。
あとキャラじゃないですけど、「エジプト」とか「ピラミッド」とか「古代」とか…なんかかっこいいなって。キャラ的には、単純に「遊戯かっこいいな!」って思いながらアニメ見てましたね。闇遊戯は顔も雰囲気もキリっとするじゃないですか。その差がやっぱ、子供でも分かるかっこよさでした。

タカロク
あと強さですね。誰にも負けないっていう。

片山
そう。誰にも負けないし、今ドローしたけど、カード見てなかったよ!?とか(笑)

栗本
彼のレベルになると見なくてもいいんですよ、きっと(笑)

全員
(笑)

片山
そう、でも見なくても分かってるんだ…!って、それがかっこよかったですね。ちょっと不思議に思う場面もあるんですけど、それを凌駕するかっこよさとかインパクトが、『遊戯王』にはありましたね。強くなりたいなって思ったし。

それと…カードゲームって傍から見たら面白くないじゃないですか。

タカロク
そんなことはないよ!?

片山
いや、でも地味ですよ。それに比べて、『遊戯王』ってアニメで見てるとすごい熱いじゃないですか。演出とか、モンスターとか、すごいなって。カードゲームなのにこんなにかっこよくて…そこに感情を揺さぶられてましたね。バーチャルとか、ソリッドビジョンみたいなシステムもかっこよかったです。

栗本
一種のARなわけですからね。カードゲーマーの夢ですよ。

タカロク
あれ見てるとデュエルディスク欲しくなりますよね。

片山
憧れですよね!発売した時めちゃくちゃ欲しかったです。あの自動でシャーってカードが入っていくのとか、デッキを勝手にシャッフルしてくれるのとか、どういう仕組みだろう?って、アニメで見て思ってました。
あと、『遊戯王』って物々しい感じがありますよね。千年アイテムを巡る戦いっていう…なんでカードゲームでこんな物語が?って。

栗本
そこがいいんですよね。『遊戯王』という一つのアニメ・マンガ作品で、デュエリスト側と世界観側の両方を描く。いやはや凄い。

タカロク
カードゲームで描く世界観としては、色々と衝撃的でした。

片山
個人的にはペガサスの出る「決闘者の王国編」あたりが一番盛り上がってました。アニメも見てたし。

タカロク
その後の「バトルシティ編」も熱いですけど、「決闘者の王国編」で本格的に感情移入していった気がします。それまでは物語を追うのに必死だったけど、やっとキャラの顔が見えてきたというか。
中盤辺りで海馬と闇遊戯のデュエルがあって、海馬が自分の負けを悟ってライフが0になったら塔から飛び降りるという恐ろしいことを言い放つんですけど…ここで元の遊戯が表に出てきて、サレンダーするという。「この物語は“戦い”だけじゃないんだ」って思いました。

片山
海馬はすごいですよね。信念というか…その想いが…カード破っちゃうし、遊戯のおじいちゃん拉致するし(笑)

(次ページ:20周年を迎えて…見果てぬ先まで続く闘いのロード!)

■ 改めて20周年を迎えて、見果てぬ先まで続く闘いのロード!

タカロク
改めて、自分たちが十年以上前から遊んでいた『遊戯王』がこうして盛り上がっているのをどう感じますか?

沖本
もちろん純粋に嬉しいです。一方で、マーケティング的にちょうど子どもの頃熱中していた僕らの世代が狙われているなと(笑)。

タカロク
大人になったからお金も自由に使えますしね!(笑)劇場版公開のおかげでグッズとかイベントとかたくさん展開があるので、お布施ができて嬉しいです。まさかあの頃可動フィギュアがでるとは思ってなかったなぁ…。

片山
そもそもこれだけ続くってすごいですよね。アニメもシリーズで続いていて、カードゲームもまだまだ人気で、世界大会もやってるし。展開を広げてるじゃないですか。僕はプレイヤーとしてデュエルしてる期間に波がありますけど、それでもどこかで誰かがデュエルをし続けてるってことで…さらに今年で20周年を迎えて劇場版が公開されて、ヒットしてますし。コンテンツの力が衰えてない。

栗本
凄くゲーム的な話になりますが、20年続けてゲームが崩壊しないこのゲームバランスが凄いですよね。もちろん禁止・制限カードとかありますが、それでも今なお進化を続けている。因みに映画公開時点では全7649種類(※)のカードがあるそうです。

※参考:新宿駅に「遊戯王」 これまで発行された全7649カードを展示、幻の「青眼の究極竜」も

カードゲームも出ては消えての世界です。そんな中、世界中で長年親しみ続けられている。それこそもう親子二世代で一緒に遊べるレベルじゃないですか。それを単なるカードゲームだけではなく、他メディアで展開するのは本当に大切だし、とても大変なことだと思います。

タカロク
栗本さんが言った通り、カードゲームの基本的な要素がそのままで、ずっと進化し続けてるのはすごいことですよね。子どもたちからの支持をずっと得続けているのも…
以前玩具屋で働いていたことがあるんですけど、パックの発売日はたくさんの小学生が買いに来てました。

片山
やっぱりそうなんですね…僕も行ってました。発売日になったら「行かなきゃ!」って思ってました。
あと、今回改めて1作目って特別なんだなって思いましたね。それこそ劇場版見に行く人たちって、初代の『遊戯王』じゃなくて「5D’s」とか他のシリーズの世代の人もいると思うんです。でもそういう若い世代のプレイヤーと話してても「遊戯」って認知されてるし、やっぱ特別だなって。今でも『遊戯王』と言えば、“遊戯”の人が多い。他のシリーズも面白いと思いますけど、それでも変わることがない。


タカロク
うんうん。あと、劇場版では周りのファンの人とか、作り手の熱量の高さを感じました。劇場版は本当に作画が凄くて、『遊戯王』好きにはお馴染みの加々美さんが総作画監督を務めていて…そういうのももちろん嬉しかったですけど、絵から『遊戯王』に対する思いがひしひしと…。
ファンとしては本当にあれだけのクオリティで完成された作品を劇場で見ることができて嬉しかったです。だからこそ今後はどうなるのかなって思うんですが。

片山
どうなるんだろう…。

タカロク
個人的には、20周年でこれだけお祭りとして盛り上がったので、また5年とか10年経ってお祭りをしてほしいなって思うし、続いてほしいです。

ではそろそろまとめに…皆さんにとって『遊戯王』とは?

栗本
TCGって楽しいですよね。何百何千というカードの中から自分だけのデッキを作り、生身の人間と対決する。人の数だけデッキがあり、勝負の数だけドラマがある。勝利を手にするために何度も試行錯誤し、入念に準備する。そして全力でぶつかり、勝利と敗北を繰り返す。TCGはそんな体験ができる唯一無二のゲームです。それを教えてくれたのが『遊戯王』でした。

片山
僕は高校の時に、『遊戯王』のおかげで広がったコミュニティって大きくて…最初は4人だったのに、それが8人になって、10人になっていったりとかして。そうやって広がったのは、『遊戯王』のおかげですね。小さい頃は普通に友達とデュエルしてましたけど、それが高校になっても通用したのがすごいなって。だから、得たものは「友達」ですね。

沖本
結局そこなんですよね。『遊戯王』があったから云々というより、僕にとってはもう子供時代そのものだった。友だちとの思い出も『遊戯王』とセットになっていましたから。なけなしのお金をつぎ込んでゲットしたレアカードも、今はもう捨てちゃって形には残ってないですけれど、『遊☆戯☆王』を通して得られた記憶や感情は、間違いなく今の自分を形作っているなと思います。

タカロク
自分たちの世代って、今でも続いてるような良作なコンテンツがたくさん出て、すごい恵まれてると思うんですけど、こういうタイミングで巡り合えたのは本当に嬉しかったです。
そういえば面白いなって思ったのが、私がはまったきっかけのカーリー渚なんですけど、彼女の職業が記者なんですよ。はまった当時は大学生で、自分がこういう仕事につくなんて微塵も思ってなかったんですけど。今編集の仕事をして、『遊戯王』のニュースを書いて、イベントに取材に行って、自分が記者として関わってるっていう…面白い縁だなって思いました。