9月25日、アニメ制作技術の総合イベント「あにつく2016」が秋葉原のUDX GALLERYにて行われた。CG制作会社のオレンジはセミナー「コードギアス 亡国のアキト CGモデリング〜CGアニメーションの道筋を辿る」を開催。2012年から16年にかけて全5章が公開された「亡国のアキト」シリーズの映像を交えて、迫力の戦闘シーンがどのように作られたのかを解き明かした。

セミナーにはCGディレクターの佐藤号宙をはじめ、CGモデラーの西村朗、CGモデラーの小島可奈、CGアニメーターの坂野友軌が登壇。メカニックのモデリングやアニメーションを中心に制作秘話を語った。
まずは主役機であるアレクサンダの戦闘シーンを上映。同じ機体であってもパイロットが違うため、動きにキャラクター性を持たせるようにしたことを明かした。主人公・日向アキトが操縦する機体は小柄なサイズを生かしながら戦い、戦闘中にもよく変形させることで彼の操縦技術の高さを表現した。その一方でヒロインのレイラ・マルカルは操縦に慣れておらず、着地の際によろめくなどで差を出すようにした。機体ごとにキャラクター性を持たせて芝居をつけることで、登場人物が実際に操縦しているようなリアリティを生み出したのだ。

西村はメカデザインからモデルを起こすときには、どのような素材で作られているのかイメージを膨らませていくのがポイントだと語る。戦闘によって半壊したモデルを作る際にも、どんな武器によって受けた傷なのかを想定し、ねじ切れていたり、潰れていたりと、素材感を出せるようにこだわった。
坂野は「アキト」のアニメーションはアレクサンダのデザインによって実現できた部分も多いとコメント。アレクサンダは人間に近いプロモーションで装飾も少ないため、高速で繊細な動きが可能だ。さらにシルエットの視認性も大きいので、激しいアクションを取り入れても何をやっているのか分からない状態にはなりにくい。そのため作業効率は自然と上がっていき、アクションのカッコ良さだけでなくキャラクターの心情も考えながらモーションを付けることができたと、仕上がりに自信を見せた。

CGで制作された背景もアクションを盛り立てる重要な要素である。小島は戦闘の舞台となった大型飛行艇のガリア・グランデやヴァイスボルフ城の美術ボードと完成したCGを対比し、色調整、汚し、陰影、奥行き、光の反射などをどう加えていったのか説明した。様々な処理を加えることで背景がリアリティを増していく様子を体感できた。
最後は佐藤が「アキト」は非常に自由度が高い作品で、10秒近く尺を足してアクションを付け加えたシーンも存在するほどだったと制作を振り返った。コンテの意図をくんだ上でアイデアを盛り込むことができ、クリエイターとしてやりがいのある仕事だったことが伝わってくるセミナーとなった。
[高橋克則]