岡山県西粟倉村は、鳥取、兵庫県に接し、人口わずか1500人。強い危機感を持つ村は、森をテコに若い「よそ者」を積極的に呼び寄せ、自由に活動させる賭けに出た。いま、「ローカルベンチャーの村」として知られ始め、未来を切り開こうとしている。

 「きっかけは、平成の大合併を拒否して自立を決断したことだ。村の95%が森林。最大の地域資源を村外の人も入れて活用しようと退路を断った。小さな村でも自立できることを全国に示したい」と青木秀樹村長(61)は意気込む。

 村の人口は1950年の3千人をピークにほぼ減り続け、65歳以上の高齢者が35%もいる。村は2008年、「百年の森林構想」という旗を掲げた。美しい森を子孫に残し、地域経済を回そうという挑戦だ。村は自力ではできないとわかっていた。「村の人事部」と呼ばれた雇用対策協議会を使って、林業や木工に興味を持つ若者を集めた。村は出資や廃校提供、住宅となる空き家のあっせんといった裏方に回った。

 よそ者の代表格は05年にやって来た牧大介さん(42)。京大大学院農学研究科修了の地域再生コンサルタントだった。村の林業はそれまで、丸太を売って終わりで大きな金が落ちなかった。そこで、09年に第三セクター「西粟倉・森の学校」を設立、木材に付加価値をつけて売り出した。住宅の内装材や椅子、食器などに加工し、販路開拓や資金調達まで担った。この10年で、森林関連の売り上げは8倍の8億円に伸びた。