11日まであったフィギュアスケートのジュニア・グランプリシリーズ日本大会(新横浜スケートセンター)に、競技歴8カ月のインド選手が出場した。ショートプログラム3・02点、フリー10・07点で最下位だったが、転倒を繰り返しながら2回転ジャンプに挑む姿は観客の胸を打った。

 出場したのは、クリシナ・サイ・ラフール・エルリ(14)。6歳からローラースケートを習っており、コーチの勧めで今年1月からフィギュアを始めた。インドは今シリーズ7戦中2戦に1選手ずつ出場させることができ、その出場権を使った。

 「インドでウィンタースポーツはメジャーではない。周りでやっている人はいない」。一家が暮らすインド中南部ハイデラバードは冬でも気温30度を超え、スケート場はない。練習は2カ月に1回、飛行機で通っているという。ハイデラバードはインド屈指の先端産業都市で、父はアフリカなどに医療品を輸出する会社で働く。「フィギュアはお金がかかるけど、家族は僕がやりたいことをサポートしてくれる」と滑らかな英語で話す。

 今大会では自分で曲を選び、振り付けも自分で考案。自身の出番以外は他国の選手の演技を食い入るように見つめ、9日のSP終了後には日本の友野一希に滑り寄って握手を求めた。将来の夢はプロのローラースケーターになること。初めて大観衆の前で演技を披露し、「本当に楽しかった。大勢の人が拍手をして応援してくれて、うれしかった。日本が大好きです」と笑顔を絶やさなかった。(渡辺芳枝)