◆ あらゆる記録が「※日米通算」に

 セ・リーグでは現在、2人の若き大砲によるタイトル争いが話題を呼んでいる。1991年11月生まれの筒香嘉智(DeNA)と1992年7月生まれの山田哲人(ヤクルと)だ。

 筒香は25歳以下のシーズンに40本&100打点をクリアし、山田は2年連続のトリプルスリー&100打点を記録。先日、東京ドーム近くのスパラクーアのサウナで隣合わせたおっちゃんが「ONコンビっていうのは今で言ったら長嶋茂雄が山田で、王貞治が筒香みたいなもんだよ」と言っていて、「そりゃあ山田と筒香が同じチームでクリーンアップを組んでたら人気でるでしょうねぇ」と盛り上がった。

 昭和のあの頃といえば、スーパースターは国内で引退までプレーし続けるのが普通だったが、現代の図抜けた力を持つ選手たちはこぞって海の向こうを目指す。恐らく、筒香や山田も松井秀喜(元巨人)のように20代後半でのメジャー移籍が濃厚だろう。

 これにより、野球界のあらゆる記録が「日米通算記録」という注釈のつく時代に突入しつつある。例えば、記憶に新しいイチローの日米通算4257安打騒動のように。


◆ “過去の偉人”が並ぶ本塁打記録

 ホームラン記録もそうだ。松井秀喜はMLBでも175本塁打を放ち、日米通算507本塁打。だが、NPB公式サイトの記録では巨人時代の332本のみで歴代35位にランクインされている。

 現役選手の通算本塁打数上位を確認しても、井口資仁(ロッテ)、福留孝介(阪神)、松井稼頭央(楽天)といった選手たちは皆キャリアのピークをアメリカで過ごし、井口と福留は日本球界に復帰してから日米通算2000安打を達成した。


【現役・通算本塁打ランキング】
1位 373本 阿部慎之助(巨人)
2位 342本 村田修一(巨人)
3位 330本 中村剛也(西武)
4位 305本 新井貴浩(広島)
5位 249本 井口資仁(ロッテ)
6位 238本 福留孝介(阪神)
7位 199本 松井稼頭央(楽天)
8位 195本 多村仁志(中日)
9位 187本 松田宣浩(ソフトバンク)
10位 185本 バレンティン(ヤクルト)

【歴代・通算本塁打ランキング】
1位 868本 王 貞治
2位 657本 野村克也
3位 567本 門田博光
4位 536本 山本浩二
5位 525本 清原和博
6位 510本 落合博満
7位 504本 張本 勲
7位 504本 衣笠祥雄
9位 486本 大杉勝男
10位 476本 金本知憲
※松井秀喜は日米通算507本


 21世紀唯一の500号到達選手は清原和博。NPB一筋で通算525本塁打を記録したが、これから日本球界だけで通算500本塁打を達成するようなスラッガーは出現するのだろうか...?

 現在300本を超えている阿部慎之助(巨人)は79年生まれ、村田修一(巨人)は80年生まれと年齢的にも通算400本塁打が現実的な目標になるだろうし、新井貴浩(広島)も来季40歳になる。

 となると、やはり中村剛也(西武)に期待が懸かる。83年8月生まれの33歳。歴代3位にあたる6度の本塁打王に輝いたホームランアーチストは、今季は左股関節痛や打撃不振に苦しみながらも21本塁打を放っている。現在330本なので、500号まであと170本。おかわり君が40歳まで年平均25本を7年間続けたら、通算505本塁打に達する計算になる。

 こうして見ると、やはり500本塁打というのは偉大な数字だと実感する。


 野茂英雄の渡米から早21年――。今では高校生のドラフト1位選手も入団会見で「将来の目標はメジャーリーグ」と当たり前のように公言する時代が到来した。

 今後は、広島を25年ぶりのリーグ優勝に導いた黒田博樹のようにプロ入り後10年弱は日本でプレーをし、MLB移籍を挟んで、キャリア終盤に日本球界に戻るという形が増加するだろう。タイトルを毎年獲得するような一流のスター選手が、引退まで日本一筋で活躍し続けるというケースは年々減って行くはずだ。

 もしかしたら、中村剛也が最後のNPB通算500号達成選手になるかもしれない。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)