◆ メジャーで唯一の勝率6割超え

 9月もいよいよ終わりか近づき、メジャーリーグもいよいよ大詰めを迎えている。

 現地時間23日にはダルビッシュ有が所属するレンジャーズが地区優勝を果たし、明日以降も地区優勝が続々と決まりそうだ。


 今年はカブスが今月15日に両リーグ一番乗りで地区優勝を決め、現在は98勝55敗の貯金「43」と圧巻の成績。充実した投手陣を中心に、シーズン100勝は間違いない状況となっている。

 今年こそ“ヤギの呪い”を解き、71年ぶりのワールドシリーズへ...。カブスにとっての“本番”がいよいよ目前に迫ってきた。


◆ ポストシーズンは「0」からのスタート

 今季のカブスの戦いぶりを見る限り、世界一に最も近いことは間違いない。しかし、いくらレギュラーシーズンで圧倒的な成績を残しても、ポストシーズンでは「0」からのスタートになる。

 もちろんホームアドバンテージは得るものの、アメリカンフットボールやバスケットボールといった他競技に比べ、野球におけるホームアドバンテージはさほど大きくないのが実情だ。

 ちなみに、プレーオフに「ワイルドカード」が導入された1995年から2015年までの21年間で、レギュラーシーズン100勝以上挙げたチームの数は延べ21。そのうち、ワールドシリーズに進出できたのは6チーム(28.6%)で、世界一に輝いたのは僅か2チームだけ(9.5%)という結果が出ている。

 その一方で、ワイルドカードからプレーオフに出場した場合はどうか。ワールドシリーズ進出率は26.2%とほぼ同じだが、世界一に輝く確率に関しては14.3%という高い数値をたたき出しているのだ。(※2012年から導入されたワイルドカードゲームにおいては勝利した1チームのみをカウント)


◆ 一番重要なのは“勢い”

 過去21年間のデータを見ると、ワールドシリーズ進出はレギュラーシーズンで100勝を挙げたチームよりも、ワイルドカードチームが勝ち上がるパターンが多い。一体なぜなのか...。

 メジャーリーグの場合、日本のプロ野球と違うのが「レギュラーシーズン終了から間を置かずにポストシーズンに突入する」という点だ。

 すなわち、シーズン最終盤のチームの“勢い”が非常に重要となる。今年のカブスのように100勝以上挙げるような強豪は、9月の早い段階で優勝を決めることも多く、残り数試合まで決着しないワイルドカードチームに比て、“勢い”の面ではどうしても不利になってしまう。

 また、5試合制の地区シリーズでホームアドバンテージを持つチームは1・2・5戦目をホームで戦うが、初戦もしくは2戦目のどちらか一つでも落とすと、3・4戦目の敵地で少なくとも1勝しなければならず、逆に精神的に追い詰められることにもなる。

 今季もカブスが早々とポストシーズン進出を決め、ワイルドカード争いは最後までわからない状況だ。ナ・リーグはメッツ、ジャイアンツ、カージナルスの3チームにほぼ絞られたが、どのチームが勝ち上がってもポストシーズンの戦い方を知り尽くした強豪。今年のカブスをもってしても、勝ち上がるのは容易ではないはず。

 第2次大戦が終わった1945年以来となるワールドシリーズへ...。ヤギの呪いが解かれる時がついに訪れるのだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)