◆ 短期決戦ならではの継投策

 ワイルドカードゲームに続いて、現地時間6日(日本時間7日)からア・リーグの地区シリーズが始まった。

 今季限りの引退を表明しているオルティスが率いるレッドソックスは、敵地でインディアンスと対戦。合計6本もの本塁打が飛び交う一戦を制したのは、名将フランコーナが監督を務めるインディアンスだった。

 レッドソックスはシーズン22勝のポーセロ、インディアンスは同12勝のバウアーが先発。戦前はレッドソックスがやや有利とみられたが、フランコーナの継投がズバリ的中した。

 5回表、4−3と1点差に詰め寄られたインディアンスは先発のバウアーを諦め、セットアッパーのミラーを早くも投入。そのミラーが7回途中まで2イニングを無失点で切り抜けると、ショーを挟んで8回途中から守護神アレンに継投。アレンも1回2/3を無失点で抑え、重要なシリーズ初戦を勝利で飾った。

 ミラーとアレンはそれぞれ40球を投げたため、2戦目以降への悪影響も考えられるが、3戦先勝の短期決戦で初戦を取った意味は大きい。

 2戦目はシーズン18勝のクルバーが先発予定。インディアンスがホームで一気に王手をかけられるだろうか。


◆ オリオールズは守護神を出し惜しみサヨナラ負け

 野球の監督にとって「継投のタイミング」は最も難しく、試合の勝敗を左右する大きな要素である。

 4日に行われたア・リーグのワイルドカードゲームでは、オリオールズがシーズン47セーブを挙げたブリットンの投入を渋り、延長11回の末、ブルージェイズにサヨナラ負けを喫した。試合後、監督のショーウォルターに批判が相次いだのは言うまでもない。

 フランコーナとショーウォルターはそれぞれ30代後半にメジャーリーグの監督に就任。それ以降ともに実績を築き上げ、ともに球界随一の名将として知られている。

 ちなみに、レギュラーシーズンの通算勝利数はフランコーナが1381勝、ショーウォルターは1429勝。最優秀監督賞はフランコーナの1回に対し、ショーウォルターは3回受賞している。

 しかし、ポストシーズンの成績を比べてみると、フランコーナが29勝18敗と大きく勝ち越している一方で、ショーウォルターは9勝14敗と負け越している。

 ショーウォルターは今季を含めて5度のポストシーズン経験があるが、ワールドシリーズ出場には至っていない。レッドソックスの監督時代に2度の世界一に輝いたフランコーナとの違いは、短期決戦の采配にあるといっていいだろう。

 今回フランコーナが見せた早めの継投は、吉と出るか凶と出るか。今のところは、まだわからない。

 もし逆転で初戦を落としていたとすれば、批判の嵐が巻き起こっただろう。しかし少なくとも、その継投が勇気ある決断だったことは間違いなく、さらに初戦をものにしたことでチームの士気はより上がったはずだ。

 自身3度目の世界一へ...。フランコーナ率いるインディアンスが上々の滑り出しを見せた。


文=八木遊(やぎ・ゆう)