◆ 感情を露わにした主砲

 打球が三遊間を破ると、男は思わず吠えた。

 札幌ドームで行われた日本ハム−ソフトバンクのCSファイナルステージ第2戦、2−2の同点で迎えた6回裏。一死一、二塁のチャンスで打席に入った中田翔は、フルカウントからの変化球に食らいつく。

 打球は決して“良い当たり”ではなかったものの、横っ飛びしたサードの松田宣浩とショート・今宮健太のグラブをかいくぐるようにレフトへ。二塁から西川が還り、勝ち越し点を叩き出すと、中田は思わず手を叩き、塁上で感情を露わにした。


◆ 4番の意地

 まさに“4番の意地”が打たせた一本だった。

 この回先頭の西川遥輝が内野安打で出ると、つづく近藤健介が犠打を決めて一死二塁。勝ち越しのチャンスで、大谷翔平が打席に入る。

 球場のボルテージも最高潮に到達したところで、すぐに歓声がどよめきに変わった。ソフトバンクサイドが敬遠策を選択したのだ。

 次に控えるのは日本ハムの4番、前の打席でタイムリーを放っている中田翔。もちろん、塁を埋めることで守りやすくなるという部分は大きい。とはいえ、4番にとってこれほど屈辱的なことはないだろう。

 悔しさや怒りをパワーに変え、執念で放った一打。この後チームは逆転負けを喫したものの、“4番に中田あり”という印象を相手に植え付ける結果となった。


◆ チームを引っ張る主砲として...

 初戦でも、相手先発の武田翔太にトドメを刺す2ランを放つなど、今年のCSは打率.429で1本塁打、4打点を記録している。

 思い起こしてみると、2014年のファイナルステージでは6試合で4本塁打と爆発。レギュラーに定着した2012年以降、CSでの通算打率は.323を記録し、6本塁打で16打点。大舞台でしっかりと輝きを放っているのだ。

 負け方が負け方だけに不安は広がったが、まだ2勝1敗。日本ハムのリードに変わりなく、あと2つ勝て日本シリーズへの挑戦権が得られる。

 どっしりと構える好調な“4番”が、チームを高みへと導く。