転落の一途をたどった後半戦の中で、夢と希望を持てた試合は9月4日の巨人戦(東京ドーム)だった。チームが今季初の5連勝で迎えたその日の先発はドラフト1位ルーキーの小笠原慎之介。そこまで自身5連敗中だった18歳がようやくプロ初勝利を手にした。

 小笠原も首脳陣も辛抱を続けて勝利の女神がほほ笑んだ。初回は一死二塁から坂本に先制2ランを許し、2回も小林誠の中前適時打で追加点を許す苦しい展開。だが、3回以降は立ち直って無失点を続けた。5回で103球。6回の打席では森監督代行が代打を送らなかった。6回で114球。今度は小笠原が続投を志願した。そして7回も無失点に抑えると、8回に味方打線が相手のエラーにつけ込んで一挙4得点。その結果、プロ初勝利が転がり込んだ。

「代えなくて良かった」と森監督代行が言えば小笠原は「うれしいのひと言です。(野手に)感謝しかないです」とあどけない笑顔で喜んでいた。その日は今年に入って磨いたカーブが効果的。127球、10奪三振はプロ入り最多。進化を続ける金の卵がようやくふ化した試合だった。

 その試合でチームは今季初の6連勝。最下位だったとはいえ3位・DeNAとは5ゲーム差になった。もしかして、と夢を見たあの日。結局、その後に待っていたのは2リーグ制以降初の4年連続Bクラスに19年ぶり最下位だったが、来季につながる試合ではあった。