BCNはIT技術の習得に取り組むITジュニアを支援し、全国のコンテストで優秀な成績を収めた若者に「BCN ITジュニア賞」を授与している。受賞の対象となるコンテストは秋に集中するが、8月7〜8日に先陣を切って、厚生労働省と中央職業能力開発協会(JAVADA)が主催する第11回若年者ものづくり競技大会が栃木県と沖縄県で開催された。4時間にわたる静かな、しかし熱い闘いの結果、BCN ITジュニア賞のノミネート対象である「電子回路組立て」で、新しいヒーローが誕生した。

●20歳以下の技能を学ぶ若者が参加


 若年者ものづくり競技大会は、企業などに所属せず、職業能力開発施設や工業高校などで技能を習得中の20歳以下の若年者に目標を与え、技能を向上させることによって就業を促進し、同時に若年技能者の裾野の拡大を図ることを目的とする競技会だ。「メカトロニクス」「旋盤」「フライス盤」「木材加工」「自動車整備」「ウェブデザイン」「ロボットソフト組込み」など14の職種で、若者たちが日頃鍛えた技能を競う。
 今年の若年者ものづくり競技大会は、栃木県で7職種、沖縄県で7職種が開催された。BCN ITジュニア賞のノミネート対象である「電子回路組立て」の会場は、栃木県宇都宮市体育館。「電気工事」「機械製図(CAD)」「ITネットワークシステム管理」と同じ会場だ。
 「電子回路組立て」には、24名が参加。全国の予選を勝ち抜いてきた工業系の高校に所属する選手が10名、都道府県の職業能力開発大学校・短期大学校などの職業能力開発施設の選手が14名という内訳だ。高校は、愛媛県松山工業高校や北海道旭川工業高校、大分県立鶴崎工業高校、兵庫県立小野工業高校などの常連組だけでなく、北信越大会で名門の長野県松本工業高校を下して勝ち上がってきた富山県立高岡工芸高校など、新顔もみえる。
 「電子回路組立て」の競技では、競技仕様書にもとづいて「組立て基板」を製作し、仕様書通りに動作するよう、この基板を制御するプログラムを制作する。つまり、電子回路の組立てという物理的な作業の技量と、動作モードのプログラム設計というプログラミングの技量が問われるわけだ。仕様書は、事前に公開されているものと、当日公開されるものがあり、当然、当日公開の課題への対応がポイントの一つになる。また、作業中の態度も評価・採点の対象になる。

●圧倒的な強さをみせた北本悠真選手


 競技は、8日の8時50分から、途中10分間の休憩を挟んで、午後1時までの4時間だ。前日に工具やパソコンの搬入・展開などの準備を終えている選手たちは、説明を受けた後、すぐに競技に入る。
 回路の組立てを早く終えることができれば、プログラミングにそれだけ時間を割くことができる。しかし、組立てのハンダ付けなどの厳しい審査基準をクリアするために、選手たちは慎重にコテを操る。
 1時間ほどで、ほとんどの選手が回路組立てを終了し、プログラミングに移る。仕様書を確認しながら、キーボードの上で指を踊らせる。そして競技時間の終了間際。選手たちはつくり終えた基板とパソコンからUSBメモリにコピーしたプログラムを審査員に提出していく。4時間の競技を終えた選手たちに、疲労の色はみえない。むしろ「やり終えた」「力を出し切った」という満足感のような表情が浮かんでいる。
 審査は競技終了後、時間をかけて厳正に行われ、成績は翌日、厚生労働省とJAVADAのホームページで発表される。華やかな表彰式などはないが、選手や指導者たちは会場からの帰途、あるいは地元で、やきもきしながらウェブサイトの再読込みを繰り返すのだという。
 翌日14時頃、すべての競技の成績が発表された。今年の「電子回路組立て」を制したのは、松山工業高校の北本悠真選手だった。指導する山貴弘教諭が「こんな生徒に初めて出会った、というほどの天才肌」と評する通り、回路組立てを真っ先に終えると、最後の時間は動作確認作業や卓上の整理に使うほどの余裕をみせ、圧倒的にも映る勝利を飾った。質・量ともに豊富な練習量と、それを支えてきた指導のたまものの優勝だった。
 銀賞には東海職業能力開発大学校の加藤誠也選手、鶴崎工業高校の宮?恭寛選手、近畿職業能力開発大学校の辰ノ嘉郎選手、銅賞には高岡工芸高校の竹田亮大選手、小野工業高校の藤本将徳選手、愛知県立愛知工業高校の安江柾寛選手が入った。金賞/厚生労働大臣賞に輝いた北本悠真選手は、来年1月20日に開催されるBCN ITジュニア賞2017 の受賞者としてノミネートされる。