PCは、消費増税・Windows XPサポート終了前の駆け込み需要に沸いた2014年春以降、販売台数で前年割れが続き、回復の兆しが見えない。
 その前から、PC事業の切り離しや統合、事業規模の見直しなどが進み、「XP特需」後、業界再編が本格化してきた。
 NECは、2011年にレノボグループの傘下に入った。ブランドは継続して使用しており、家電量販店などの販売現場では表だった変化は見られない。また、ソニーは自社でのPC事業を終息させて、2014年7月に新会社VAIOが発足した。
 10月6日、NHKをはじめとする各メディアが、富士通が、レノボグループとPC事業を統合する方向で検討していると報じた。富士通は、2016年2月にPC事業を分社化し、100%子会社となる富士通クライアントコンピューティングを設立。現在、分社化後の事業成長に向け、レノボとの事業統合を含め、さまざまな可能性を検討しているという。
 家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、2015年(1月〜12月)のPC全体(デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末の合計)のメーカー別販売台数シェアは、1位のアップルが19.8%、2位のNECが19.3%、3位のASUSが14.8%、4位の富士通が10.7%、5位の東芝が9.9%、6位のレノボが9.1%だった。
 PC全体の約6割の構成比を占めるノートPC、デスクトップPCに限ってみると、NECがシェア26.4%でトップに立ち、富士通(17.4%)、東芝(15.9%)、レノボ・ジャパン(10.7%)と続く。一時、ノートPCでは東芝、NEC、富士通の3社が僅差で競っていたが、近年は、ノートPCでもデスクトップPCでも、NECが頭一つ抜きんでている状況だ。
 直近の2016年1月〜9月の累計では、1位は2015年と変わらずNECだが、シェアは1.3ポイント減の25.1%に低下。2位の富士通は19.0%と、1.6ポイント上昇している。3位の東芝は15.6%、4位のレノボは11.8%。レノボグループのNEC、レノボ・ジャパン、富士通の3社を合算するとシェア56.0%となり、5割を超える。

●「独禁法」と「流取ガイドライン」


 今回のレノボと富士通の統合に向けた動きでは、両社による合弁会社の設立で、NECはこれに絡まないと報じられている。だが、NECレノボジャパングループで見た場合にシェア5割を超える巨大グループの形成は、公正取引委員会からの目が気になる。
 一方で家電流通では2014年6月に、公取委が23年ぶりに改正した「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(流取ガイドライン)の影響が、家電流通の販売現場に及んでいるとする声が大きい。
 メーカーが製品供給先の流通企業を選択できるなど、従来の独禁法の規制を緩和する動きがある。背景には、流通業者のバイイングパワーが増したことで、単価ダウンなどにより国内メーカーの体力や開発力が疲弊したのではないかという反省がある。
 富士通とレノボのPC事業の統合が、「独禁法」と「流取ガイドライン」の間で揺れる公取委にどのような影響を及ぼすのか。家電流通の関係者にとっても気になるテーマだ。(BCN・嵯峨野 芙美/細田 立圭志)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。