今までかなり本を読んできたし、学校の国語の成績もよかったのに、受験勉強ではなぜか点数が取れないというお子さまは多いようです。その原因の多くは、入試に必要な論理的な読み方ができていないため。論理的な読み方を身につけることは、入試ではもちろん、中学・高校の学習においても非常に重要になってきます。
今回は4年生を対象に、論理的な読み方を身につけるための方法と、特に苦手な子の多い登場人物の心情を読み取るコツについてお話しします。

読解問題こそ徹底した「復習」が大切

4年生の後半は、論理性が発達してきますので、読む力を培うのに最適な時期といえます。論理性を鍛えるには、自分の考え方の筋道を、きちんと人に説明する習慣をつけることが大切です。

たとえばお子さまが問題を解いて間違えたとき、「なぜその答えになったのか教えて」と、ご本人に説明してもらうとよいでしょう。「なんとなく」と答える子も、「文章に書いてあった」と言い張る子もいますが、どこに書いてあったかは答えられないことが多いと思います。間違いをせめるのではなく、考え方をゆっくり聞いてあげてください。
それから模範解答を見て、本文の内容とどうつながってその答えになるかを、お子さまと一緒にていねいに確認してください。「なぜそうなるか」を、保護者に説明できるほどよく理解させることが大切です。このようにていねいに復習していくと、論理的に考える習慣がぐんぐん身についていきます。

読解問題で間違えたけれど、なぜ間違えたかわからないまま、なんとなく国語が嫌いになっていくというのはよくあるケースです。国語こそ徹底した復習が大切なのです。

気持ちの読み取り——文章のどこを見ればいい?

物語文の登場人物の心情表現を読み取るのが苦手という子は多いのですが、「苦手」にもいくつか段階があります。
筆者は、多くの場合、登場人物の言葉や動作、情景描写などに託して、その人物の気持ちを表現します。たとえば「頭をかく」という動作からは「恥ずかしい」「決まりが悪い」といった気持ちを読み取ることができます。ところが、動作や言葉と、気持ちがつながっていることに気づいていないお子さまもいますので、そのような場合は、そうした関係をていねいに説明してあげることが必要です。

最初は「いい気持ち」か「いやな気持ち」の二者択一でOK

「この動作に、どんな気持ちが隠されていると思う?」というふうに尋ねると、たいていの子が自分の考えを言ってくれますが、中には間違えるのを気にして言葉を選べない子もいます。その場合は「いい気持ち」か「いやな気持ち」のどちらかでいいよといえば、子どももかなりリラックスして答えられます。記述式問題では少しでも書ければ、部分点が取れる可能性が出てきますので、何も書けないよりは大きな進歩です。さらに、「『いい気持ち』にもいろいろあるよね」と続けて尋ね、嬉しい、感動している……など思い浮かんだ言葉をどんどん言ってもらい、その中からよりぴったりくるものを選んでいけばいいのです。この「言葉をどんどん言っていく」過程が大切。最初のうちは、ある程度方向性が合っていればOKとします。

その後、模範解答を一緒に確認しましょう。その心情を正確に表す、うまい言葉が使われているはずです。たとえば「怒っている」「腹立たしい」「いらだっている」ではニュアンスが違います。自分なりの考えを言葉にしてみたうえで解答を見れば「なるほど、こんなときは、こういう言葉が使えるのか」と実感できるでしょう。このようにして覚えた言葉は、単に暗記した言葉とは違う「生きた言葉」になります。

ふだんから「自分の考えを言葉で伝える」訓練を

日常生活の中でも、自分の考えをどんどん言葉にしながら「なぜそう思うか」「なぜ作者はこんな物語を書いたと思うか」等を話し合うことは、論理性を養う良い訓練になります。題材はTVドラマでもマンガでもかまいません。これは、大人どうしが、映画やドラマを見た後「あのシーンが忘れられない」「あの人物がポイントだな」などと感想を語り合うのとほぼ同じ。子どもも、複雑すぎず、テーマがはっきりした物語なら、非常に深い見方をすることがありますので、ぜひ興味を持って耳を傾けてあげてください。たとえば宮崎駿監督のアニメ映画など、良い題材になると思います。

その際に大事なことは、保護者がひとつの答えに誘導しようとしないことです。本来、物語はどんな読み方をしても自由なもの。一方、入試問題の場合は、様々な条件を設け、正解がひとつになるようにつくられています。「本当は、考え方はいくつもある。でも、入試はルールに従って、ひとつの正解に近づけるゲームのようなものなんだよ」と、お子さまに違いをしっかり教えてあげてください。

(筆者:小泉浩明)