教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
我が家のパパは子どもと毎日じゃれあったりふざけたりしています。親子で大騒ぎして、ゲラゲラ笑って楽しそうでいいなと思うのですが、その反面、小学校に入ってからも、いつもふざけてけじめのつかない子になるのではないかと心配です。

相談者・マルサンカク さん (年中 男子)

【親野先生のアドバイス】
マルサンカクさん、拝読しました。

すばらしいパパですね。こういうパパなら子どもは本当に幸せです。

マルサンカクさんは、「毎日ふざけてばかりいると、小学校に入ってからもふざけてばかりで、けじめのつかない子になるのではないか」と心配していますが、そんなことはありません。むしろその反対のことが起こります。

脳科学によると、脳には人間の情動、つまり感情の働きを扱う扁桃体という部位があり、ふざけたり騒いだりしたいという欲求もここから出てきます。そして、それを抑制する働きをするのが脳の前頭前野です。親子でふざけることで、前頭前野の抑制を外して扁桃体のふざけたいという欲求を満たすことができます。扁桃体の欲求を満たしたあとでこれを前頭前野が抑制する、ということを繰り返すことがとても大事です。

たとえば、親子で思い切りふざけたり、くすぐりっこをしたり、じゃれあったりなどして楽しい時間を過ごします。そして、そのあとで「さあ静かに絵本を読もう」というようにスパッと切り替えて静かに過ごす時間を取ります。すると、そこで前頭前野が扁桃体に抑制をかけます。たっぷりふざけることで充分満足できた扁桃体は、その抑制を受け入れることができます。

こういう切り替えの経験をたくさんすることで、扁桃体と前頭前野をバランスよくコントロールする力が付くのです。この力が付いている子は、怒りなどの感情も抑制することができるようになります。感情に飲み込まれたままキレて爆発するということもなくなります。つまり、キレない子になるのです。

マルサンカクさん一家のパパとは反対に、ふざけたり大騒ぎしたりしたいという子どもの欲求をいつも抑えつけているパパ・ママもいます。
この場合、よい子にしたい、静かで落ち着きのある子にしたい、ルールを守れる子にしたい、行儀のいい子にしたいなどと願ってのことだと思いますが、結果は逆になります。

上記のような切り替えの経験が少ないので、扁桃体と前頭前野をバランスよくコントロールする力が付かないままになってしまいます。それによって、怒りなどの感情を抑制できないままキレやすい子になってしまう可能性があるのです。

近年、保育園や幼稚園の子どもたちの声が騒音扱いされ、園内で思い切り笑ったりふざけたりはしゃいだりできなくなっているところもあるようです。この年代の子どもたちがそれを許されないというのは、非常に心配な事態だと言わざるを得ません。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)