大学入試センター試験に替わって2020(平成32)年度から創設する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」をめぐり、文部科学省が、検討の途中経過を公表しました。国語などの記述式問題は大学が採点を行う案も検討する一方、英語は聞く・話す・読む・書くの「4技能」をバランスよく評価するため、GTECや英検、TOEFLなど民間の資格・検定試験の活用を打ち出しているのが注目されます。

将来的に英語の出題はせず

現在も英語は「コミュニケーション能力の育成」を重視し、4技能による言語活動を行うこととしています。しかし、文科省の調査(2015(平成27)年度)によると、授業は原則として英語で行うことになっているはずの高校でさえ、英語による言語活動を「おおむね」「半分以上の時間」行っているとの回答が、どの科目でも50%を下回っており、しかも学年が上がるほど低下しています。その原因として、日本語で授業を行わなければ授業が成立しにくい実態があるということに加えて、ペーパーテスト中心の大学入試の影響が指摘されています。現行のセンター試験でも、リーディング(読む)とリスニング(聞く)の2技能しか問われていません。

一方、グローバル人材の育成に力を入れつつある大学側には、入学生に一定程度の4技能を求めようという動きが、少しずつ広がっています。ただ、個別に4技能のテストをするには、労力もコストもかかります。ましてや、50万人規模が受験するセンター試験で取り入れるのは、容易なことではありません。

それを一気に解決するのが、既に4技能を測定している資格・検定試験です。もともと国の第2期教育振興基本計画(2013〜17(平成25〜29)年度)でも、英検準2級程度以上の英語能力を達成した高校生の割合を、50%以上とする目標を掲げていました(15(同27)年度は34.3%)。

学力評価テストの英語に関しては、関係者の意見を聴いたうえで、将来的に、資格・検定試験に任せる方向性を目指すといいます。ただ当面は、従来通り、リーディングとリスニングの問題を出題するとしています。

受検が授業にも役立つ

もちろん、民間の資格・検定ですから、受検料も無視できません。文科省では、対象となる資格・検定に関して、高校学習指導要領との整合性や大学入試としての妥当性はもとより、受検料負担を抑えるなど一定の基準を満たしたものを認定するとしています。ただ、資格・検定の実施機関では、既に懇談会を作って、対応を検討している他、「英語4技能試験情報サイト」を開設して、情報提供に努めています。

大学入試が4技能重視に変われば、高校の授業も変わらざるを得ません。また、次期学習指導要領では、中学校英語でも「英語で授業」を原則にすることが検討されています。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)でも、2019(平成31)年度から3年ごとに、中学校で英語4技能を測定することにしています。

今後は、在学中に資格・検定試験へのチャレンジが、授業の成績に影響するだけでなく、大学入試にも即、活用できるようになるのです。もちろん、そのためには何度でも受けやすい受検料を設定するなど、実施団体側の努力はもちろん、一部の自治体で行われているような受検料負担などの取り組みも、一層期待されます。

※高大接続改革の進捗状況について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/08/1376777.htm

※英語4技能試験情報サイト
http://4skills.eiken.or.jp/

(筆者:渡辺敦司)