結婚4年目の夫が、通帳を見せてくれない。皆様ならこのような夫と離婚や別居を考えますか? Yomiuri Onlineの「発言小町」に、そんな質問が投稿されました。投稿したトピ主(40)によれば、昨年、夫(49)が約200万円のカードローンを作っていたことが発覚しました。

「どうして家計を預けてくれないのか、なぜこんなに生活がギリギリなのか」と、トピ主が夫を問いただし、発覚しました。双子(2歳)の育児休業を延長したため、現在、トピ主の収入はゼロ。毎月食費4万円、雑費3万円をもらい生活していますが、出産費用は全てトピ主が出し、現在も足りない分は貯金から出しています。

トピ主は自身の通帳や貯金はすべて見せています。夫の通帳を見たいのは「借金の返済状況や月々の引き落とし。子どものために早く完済したいのです」。いっぽう、夫が通帳を頑として見せないのは、「カードローンの返済状況や通帳残高を知られたくないためだと思います」。

そこで、離婚を念頭において、今後のことを考え始めました。「夫が通帳を見せない」という理由で、離婚は認められるのでしょうか? また本来、借金があることを結婚前に告げる義務はあるのでしょうか?柳原桑子弁護士に話を聞きました。

(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「通帳を見せない夫」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2016/0914/777737.htm?g=15)

 ●「通帳を見せてくれない」は離婚理由になる?

離婚は、当事者間の話し合いによる「協議離婚」が成立しなければ、家庭裁判所での調停、裁判へと進みます。協議離婚では、どのような離婚理由であっても、両者が合意すれば、離婚はできます。しかし、裁判では法律が定める「離婚理由」が必要です。

トピ主さんの「通帳を見せてくれない」は、法律が認める離婚理由になるのでしょうか。夫婦間で、家計の維持について協力義務が果たされているのであれば、「通帳を見せてくれない」というだけで、直ちに離婚原因になるとはいえません。

しかし、トピ主さんの状況は、裁判所が認める「離婚理由」を構成する1事情にはなりえます。ただし、「通帳を見せてくれない」ことが直ちに有責事由になるという意味ではありません。

通帳を見せないことは、その裏に浪費だったり、勤労意欲の欠如だったり、家計に対し非協力的といえる態度があった可能性が高いと考えられます。

実際、夫は家計を預かりながら、度々、家計費が不足し、育児休業中のため収入のない妻が補てんしている状況です。さらに夫は、借金の返済状況も明らかにせず、通帳は決して見せることもない。その上、家計を見直すための話し合いにも応じず、生活態度を改めようともしていません。

このような状況は、総合的に見て「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条)があるとして離婚が認められ、通帳を見せなかった側が、有責と判断される可能性はあります。

 ●結婚後に借金を伝えるのは?

借金があることを、結婚前に告げる法的な義務があるとまでは言えません。しかし借金や、その理由や金額、家計への影響などによっては、結婚後に知った場合、不和につながる可能性は大いにあります。

夫婦の信頼関係が大きく揺らぎ、その後も、信頼関係を回復することは困難となれば、これも「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条)があるとして、離婚が認められる可能性はあります。

【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属 離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/