別居中の夫が、子どもを両親に預けて女に夢中になっている。自分が親権を取ることができるか? 弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある女性がそんな相談を寄せました。

相談者は、夫と2年間別居中。もうすぐ離婚に向けた裁判が始まるそうです。現在、生活のために必死で働きながら、面会交流を時折して、子どもと暮らせる日を待ち望んでいます。小学校1年生の子どもは、「夫や(夫の)両親に、資産があるから」という理由で、夫と暮らし、同居する夫の両親が子どもの衣食住の世話を行っています。

しかし、夫は子どもの世話をせず、「女に夢中になり、子供を放置してちょくちょく女と会っている」そうです。「子どもがいるから、自由に女に会えない」などといい、女性との再婚まで考えている夫に対し、相談者は疑問を抱くように。「小学校一年生でも、淋しい事、誰も遊んでくれない事、誰が自分と向き合い誰が自分を気にかけてくれるのかなど理解しています」として、「親として口ばかりな夫」を非難しています。

子どもと同居するのも、自分自身の意向ではなく、「子どもが自分といることにより、親が喜ぶという考え方」。子どもも、相談者との生活を望んでいるそうです。

夫との離婚が成立した場合、相談者は子どもの親権者となれるのでしょうか。子どもの親権はどのように決まるのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

 ●夫に子を監護する意欲があるかどうか

ご相談のケースでは、現状の子どもの監護環境は2年間にわたって続いており、祖父母による協力を受け、経済的にも安定しているといえそうです。しかし、「夫は子どもの世話をせず『女に夢中』」とあり、肝心の夫に子を監護する意欲があるかは疑わしいといえます。

家裁調査官による調査などによって、夫の学校行事等への参加状況やこれまでの監護実績、父と子の間に愛着関係が形成されていないことが明らかになれば、夫に監護意欲がないと評価される可能性があります。

近時の裁判例にも、養育に手がかかる幼児がいながら、婚姻期間中に不貞行為を行った母親を、「未成年者らに対する監護意思ないし監護適格を疑わせる」と評価したものがあります(福岡高裁H27.1.30)。

他方、相談者は子どもを監護する意欲があり、働いてもいるようですから、子どもを養育する最低限の経済的条件を含め、監護環境は整っていると思われます。別居してからも面会を行い、母子の愛着関係も形成されている様子です。

親権者決定にあたっては、子どもの意思を尊重すべきとされていますが、その前提として子どもが社会的な分別能力を備えていることが必要です。現在、子どもは小学校1年生とのことですので、子どもの希望が直接的に結論を左右するとは言えませんが、母子の愛着関係の強さを示す重要な要素として考慮されるはずです。

以上より、夫に監護意欲がないことが明らかになり、相談者の監護環境が整っていることを示すことができれば、相談者が親権者となる可能性があると思います。

【取材協力弁護士】
鳥生 尚美(とりゅう・なおみ)弁護士
早稲田大学法学部卒業。2006年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)
日本司法支援センターの常勤弁護士を経て、あけぼの綜合法律事務所を開設。
中心業務は離婚・相続などの家事事件、とりわけ子の親権、監護者指定、面会交流、養育費等離婚問題の中での子どもに関する事案を多数取り扱っている。

事務所名:あけぼの綜合法律事務所
事務所URL:http://www.akebono-sogo.jp