ライターの鈴木智彦さんが、現役のヤクザ(暴力団員)100人にアンケートを実施したところ、「家族は不利益を被ってますか?」という質問に対して、100人中90人が「はい」と回答したとNEWSポストセブンが報じている。

9月8日にウェブ掲載されたNEWSポストセブンの記事には、ヤクザであることで、子どもの就学にデメリットがあり、なかには幼稚園への入園を断られた幹部がいるという組長の話も紹介されている。

今年1月に公開された映画『ヤクザと憲法』(東海テレビ)でも、指定暴力団・東組の傘下の二代目清勇会の会長が「ヤクザの子どもという理由で、幼稚園への入園を拒否される」といったエピソードを話すシーンがあった。

親が暴力団員だからといって、子どもが幼稚園に入園することを拒否することは法的に問題ないのだろうか。大川一夫弁護士に聞いた。

●「ヤクザとその子どもは別人格だ」

「今日わが国では、暴力団対策法や暴力団排除条例によって、暴力団員の行為が厳しく規制されています。また、一般市民においても暴力団員との関わりが規制されています。

そもそも、暴力団対策法や暴力団排除条例の規制は行き過ぎで、憲法違反である疑いは強いと考えますが、一方で『いやなら暴力団を辞めればいい』という考え方から『何ら問題なし』という意見もあります。

いずれにせよ、こうした法体系を前提にすれば、暴力団員本人に対して、何らかの契約を拒否しても多くの場合、問題なしとして許されることになるでしょう」

では、暴力団の子どもの入園拒否は許されるのだろうか。

「問題なのは、暴力団員本人ではなくて、その子どもの問題です。暴力団員とその子どもは別人格であり、子どもには子どもの人権があります。子どもにとって親は選べません。そもそも、自分の力のおよばないところを理由に差別することは原則として許されません。

それゆえ、親がヤクザというの理由だけで、子どもが幼稚園に入園することを拒否することは、その子どもを『差別』をしていることになります。不合理な差別であり、憲法上の平等原則に反します。

したがって、国公立の幼稚園であれば、ほかの合理的な理由(定員になったなど)で拒否するのでなければ、平等原則違反として違法ということになるでしょう」

私立の幼稚園がそうした対応をとった場合はどうだろうか。

「私立の場合は、特色ある幼稚園経営をする自由はあるでしょう。加えて、一般論として、『契約をする・しない』は自由が原則です、そういう原則からすれば、私立の幼稚園がヤクザの子を入園拒否しても許される、ということになるでしょう。

今日、暴力団規制の法体系を是認するとしても、暴力団員がきちんと脱退できるように、社会の中で元ヤクザが生活できるような支援の仕組みを作ることが必要だと思います」

大川弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大川 一夫(おおかわ・かずお)弁護士
大阪弁護士会所属、元同会副会長。労働問題特別委員会委員、刑事弁護委員会委員など。日本労働法学会会員、龍谷大非常勤講師。連合大阪法曹団代表幹事、大阪労働者弁護団幹事など。
事務所名:大川法律事務所
事務所URL:http://www.okawa-law.com