無断で合鍵を作って、勝手に別荘を使っていた妹夫婦に慰謝料を請求したいーー。そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。別荘を訪れた相談主が、見知らぬカップルの「浮気現場」に遭遇したことから無断使用が発覚。カップルの片割れは「義弟の上司」で、相談者が尋ねたところ、義弟から貸してもらったという。

相談者によると、妹夫婦には過去に2回、別荘を貸したことがあり、鍵はそのときに複製されたようだ。妹夫婦は合鍵を使い、無断で長期滞在したり、友人を招いたりしていたという。相談者には「いちいち鍵を借りるのが面倒だと思ったからで、気を悪くしたなら謝るけど、そんなに悪いことをしたつもりはない」と釈明している。

相談者は妹夫婦に対し、「気持ちが悪いので寝具を全部買い替える費用」のほか、無断で使われた消耗品の代金や水道光熱費、慰謝料を求めるつもりだという。相談者の要求は法的に認められるのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

●民事責任だけでなく、住居侵入罪や窃盗罪になる可能性も

いくら近親者だからといって、鍵を無断で複製することは認められません。鍵を貸したのは、あくまでもその時「別荘を使用してよい」という趣旨であることは明らかでしょう。妹夫婦の行いは「不法行為」にあたり、損害を賠償する義務が生じます。

まず、無断で使われた消耗品の代金や水道光熱費は請求できるでしょう。寝具については、汚損状態がポイントになります。「気持ちが悪い」というだけでは、クリーニング費用は認められても、買い替え費用の請求は難しいと思われます。ただし、汚損が酷い場合には、寝具の当時の時価額相当を損害として請求できます。

一方、慰謝料についてですが、「物」に関する損害は、その損害が賠償されれば精神的苦痛はなくなるという考え方から、慰謝料は認められないのが原則です。

ただ、別荘は所有者が私的な生活を送るための空間ですから、他人が使用したことでそれが汚され、精神的苦痛が生じた、と認められる可能性もあるでしょう。ですが、その場合も金額は多くて数十万円程度と思います。

以上は民事責任ですが、それとは別に刑事責任として、義弟夫婦が他人の居宅(別荘)に無断で入ったことなどは「住居侵入罪」に問われる可能性があります。また、建物内の消耗品を無断で使ったことは「窃盗罪」、もし物品を壊したら「器物損壊罪」に該当し得ます。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師

事務所名:石井法律事務所
事務所URL:http://www.ishii-lawoffice.com/