中高年女性を対象にした美容医療で、トラブルが多数発生していることを受け、有志の弁護士で構成する「高齢者美容医療被害対策チーム」の晴柀(はれまき)雄太弁護士は9月30日、東京・霞ヶ関の厚労省記者クラブで記者会見を開き、「中高年ならではの傾向として、折込広告を使った被害が多い」と注意を促した。

美容医療のトラブルでは、若年層ではインターネット広告が発端となることが多い。一方の中高年は新聞の折込広告なのだという。例えば、折込広告を見て美容形成外科を訪れた中高年の女性に、シワが消え、効果が永続するかのように偽って「リフトアップ注射」を打ち、300〜700万円もの高額な施術代金を詐取する。そんな被害が多数発生しているそうだ。

晴柀弁護士は、「適正な医療ではなく、高齢者を狙った悪質な『詐欺』のような事案だと考えている」と憤る。

●81歳の女性「頬のたるみを治す注射で、580万円を請求された」

美容クリニックは、自由診療が中心であるため、保険給付の対象にならず、施術費用が高額化しやすい。今年9月15日には、独立行政法人「国民生活センター」が、「60歳以上の女性の美容医療トラブルが高額化」として、注意を促している。

会見には、2年前に頰のたるみを治す注射を受け、約580万円を請求された81歳の女性(都内在住)も出席。「自分の浅はかさに呆れている」と後悔を語った。女性は病気の後で急に痩せ、たるみが気になるように。そこで、「注射1本で治るという広告にみせられて、電話した」ものの、治療を受けても効果は感じられなかった。

580万という金額について、女性は「驚いたけれど、『(効果が)一生もの』と言われたので、そんなものかなと思った」と述べた。支払いは複数回に分ける方法を取っていたが、一度に数百万円のお金をおろすため、銀行からストップがかかってしまったという。

病院への支払いができず、消費者センターに相談したところ、悪質な事例だとして弁護団を紹介された。女性は「支払いができていたら、弁護士の先生に相談することはなかった」と振り返る。

弁護団はこの女性も含め、これまでに6件の相談を受けており、いずれも裁判などの手段で治療費を全額返還させている。

弁護団の中川素充弁護士は、「還すことができるだけの余裕があるということ。かなりの数の潜在的被害者がいるはずだ」と話す。高齢者は他の世代に比べて資産があり、家族に内緒で施術を受けていることが多いため、泣き寝入りしていると考えられるという。

●10月3日に電話相談を実施

対策チームは10月3日(月)10時〜16時に電話相談を実施する。対象は、中高年女性向けの美容医療の新聞折り込み広告を見て、美容形成外科の施術を受け、高額の医療費を請求された被害者。地域は限定しない。電話番号は、03-5361-8351。

(弁護士ドットコムニュース)