日本の象牙市場が存続をめぐって揺れる中、自然環境と動物の保護活動を行うNGO「Life Investigation Agency」(LIA)が10月3日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、象牙などの違法売買の実態について発表した。団体のヤブキレン代表は「絶滅する生き物と引き換えにして商品が必要なのか、世の中に考えていただきたい」と話した。

南アフリカ・ヨハネスブルクで開催中のワシントン条約締約国会議では、アフリカゾウの密猟を防ぐため、各国の象牙の国内市場を閉鎖するよう求める決議が承認される見通しだ。

報道によると、「密猟または違法取引の原因となるような国内市場」というただし書きがついており、環境省は「流通が管理されている」ことを理由に、日本の国内市場は「閉鎖対象外」であるとしている。しかし、ヤブキ代表はこの日の会見で「現場では違法行為が繰り返されています」と主張した。

●「登録証があってもなくても同じ」

ヤブキ代表が問題視しているのは、大きく2つ。1つ目は象牙のやり取りなどについて定めた「種の保存法」の不備だ。この法律では、完全な形(全形)の象牙の譲渡には、ワシントン条約で規制される前に取得したことなどを示す登録票が必要とされている。

しかし、細かくカットされたり、印鑑や装飾品などに加工されたりしたものについては、登録の必要はない。つまり、違法な象牙であっても、手が加わっていれば、合法なものとして流通してしまうのだという。

問題の2つ目は、そもそも登録票の発行の流れが、信頼性のないものになっているという。登録票は「一般財団法人自然環境研究センター」が発行しているが、申請に必要なのは象牙の写真と「取得経緯の自己申告書」など書類数点。虚偽の申請に対する罰則はあるものの、登録の際に、センターが真贋を鑑定したり、入手経路をくわしく確認したりする運用にはなっていない。ヤブキ代表は「登録票があってもなくても同じだ」と語る。

●象牙の多くはヤフオクで流通

ヤブキ代表によると、日本では象牙商品の流通の多くが「ヤフーオークション」で行われているという。実際にヤフオクで「象牙」と検索すると、約1万件がヒットする。社会運動サイト「Avaaz」では、ヤフオクでの象牙の取引を禁止するよう求める署名運動が起き、150万人近い人が賛同している。

LIAは、ヤフオクなどを定期的に巡回し、違法な象牙や動植物の売買が行われていないかを監視している。今年4月以降で300件以上を刑事告発しており、このうち象牙だけでも20件近くあるという。

ヤブキ代表はこれらの事実から、「ヤフーはオークションで動植物の取引を一切禁止すべき」だと主張。また、環境省に対しても「違法な取引に対する法整備を強化すべき」だと話していた。

(弁護士ドットコムニュース)