バイトを辞めることを隠して有給休暇を10日取得し、その後職場に辞職を届け出たーー。そんな告白がネット上の掲示板で話題となった。

投稿者の職場は自由に有給が取得できる環境ではなかった。有給を消化しないまま退職することはもったいないと考え、「祖父の看病」というウソの理由で2週間の有給を取得。有給が終わるとすぐさま退職を申し出た。職場からは「ふざけるな」と罵倒されたという。

「先に有給取得後にやめると申し出ておけばよかったのではないか」という意見もあったが、そもそも、アルバイトに有給を取得する権利はあるのか。有給が残っていた場合、それを使い切った後で即退職するということも可能なのか。また、相談者のように、ウソの理由で有給を取得することは問題はないのか。労働問題に詳しい島田度弁護士に聞いた。

●アルバイトでも有給は取得できる、退職時に取得しても原則OK

「まず、たとえアルバイトであっても労基法上の要件を満たしていれば、有給休暇の取得は認められます」

島田弁護士はこのように述べる。どのような要件を満たせばいいのか。

「具体的には、(1)6か月間継続して勤務しており、(2)全労働日の8割以上を出勤している労働者であれば、有給休暇を取得する権利が当然に発生します(労基法39条1項)。

また、通常の労働者より労働日または労働時間が少ない、いわゆるパートタイム労働者であっても、一定の条件のもとに有給休暇の取得が認められています(労基法39条3項)」

今回は、退職時にまとめて取得したことが問題視されているが、どう考えればいいのか。

「有給休暇をいつ使うかについては労働者側に時季指定権が認められており(労基法39条5項)、使用者はよほどの事情が無い限り、労働者の時季指定を変更させることはできません。

したがって、いわゆる退職時の有給消化についても認められる場合がほとんどです」

祖父の看病というウソをついて有給を取得した点は問題ないのだろうか。

「労働者は有給休暇を取得する理由を使用者に告知する義務はありませんので、投稿者のようにウソの理由で有給休暇を取得したとしても、それだけで法的責任が発生するということはありません。

このように、投稿者の行動は、少なくとも有給休暇の取得・使用については、法的な問題はないといえます。

ただし、『有給が終わるとすぐに退職を申し出た』とする点については、労働者側から雇用契約の終了を申し入れた場合、申し入から2週間経過して初めて契約が終了することとされていますので(民法627条1項)、全く問題がないとはいえません。

有給休暇を取得する前の段階で、有給消化が終わったら退職すると申し出ておくことがベストだったと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
島田 度(しまだ・わたる)弁護士
東京大学法学部卒業
札幌弁護士会所属
札幌市民オンブズマン 代表
いのちと健康をまもる北海道センター 理事
ブラック企業被害対策弁護団 北海道ブロック 事務局長
事務所名:たかさき法律事務所
事務所URL:http://www.law-takasaki.com/index.html