大阪電気通信大学大阪府)が公募の推薦入学試験にもうけた「女子加算」が話題となっている。同大学は現在、学生を募集しているが、募集要項に「女子に対し、全学部において、一定の点数を加算して判定します」と、優遇制度を記載していたからだ。

ネット上では「これはアカンやつや」「逆なら差別なのに、これは差別にならへんのか?」といった批判的な見方から、「公平にするために必要なんやろ」などの好意的な見方まで、投稿が紛糾していた。

このような「女子加算」は、男女差別にあたるのだろうか? 作花知志弁護士に聞いた。

●「アファーマティブ・アクション」とは

「この問題は、いわゆる『アファーマティブ・アクション』(積極的是正措置)をめぐる是非論です」

作花弁護士はこのように指摘した。

「女性について点数を加算することは、入試の枠を男性と女性に分けて、女性のみが優遇措置を受けることを意味します。そのような優遇措置は、性別による差別を禁止し(憲法14条1項)、ひとしく教育を受ける権利を保障(憲法26条1項)している憲法に反しないかが問題となります。

今回の優遇措置をとった大学は私立大学です。しかし、私立大学も国から助成金を受けるなどしていれば『公の支配』(憲法89条)としての性質を有した存在であるといえます。また元々、教育機関は公の存在ですから、憲法解釈が私法法規(大学のルール)にも間接適用されることによって、憲法との適合性が問われることになるのです」

作花弁護士は、今回のケースを考える上で、参考となる事例についても触れた。

「アファーマティブ・アクションの先進国であるアメリカでも、アファーマティブ・アクションをめぐっては、主として人種差別を受けてきた人種的・民族的少数者の入試優遇策について争われてきました。

アメリカの判例法は、『枠を作って差別することは平等保護条項に反するが、人種的・民族的少数者であることを選抜の1つの要素とすることは許される』という立場だと評価されています。

実は日本でも同じ問題が生じたことがあります。九州大学で、理学部数学科の女子学生の数を増やす目的で、2012年度の後期日程の入学試験で『女性枠』を設定しようとされたのです。しかしながら、この九州大学の公表に対しては、『逆差別に当たる』『法の下の平等に反する』などと苦情のメールや電話が相次ぎました。

さらに、そのような声を受けて大学が相談した弁護士も、そのような『女性枠』は憲法違反の疑いが強い、と助言したため、2011年5月に撤回を余儀なくされたのです」

そこで、作花弁護士は、今回のケースについて、次のように評価する。

「アメリカの判例法や、九州大学での先例を踏まえると、今回の大学による女性優遇措置が仮に裁判などで争点として争われた場合、その措置が憲法に照らして合理性があることの証明を行うことは、おそらくとても難しいことになるのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
作花 知志(さっか・ともし)弁護士
岡山弁護士会、日弁連国際人権問題委員会、国際人権法学会、日本航空宇宙学会などに所属。
事務所名:作花法律事務所
事務所URL:http://sakka-law-office.jp/