『20世紀少年』『MASTERキートン』『YAWARA!』など、ヒット作で知られる漫画家、浦沢直樹(56)さんが大手出版社に勤める50代女性と「ダブル不倫」していた、と『週刊女性』(主婦と生活社・10月25日号)で報じられた。

『週刊女性』によると、浦沢さんと女性は今年8月上旬、都内の飲食店で食事をとった。店を出たあと、女性が先にラブホテルに入り、浦沢さんも約1分後に入ったという。その約3時間後、浦沢さんが先にホテルから出て、それから1分後に女性が出てきたそうだ。

同誌は9月にも同じような現場をキャッチし、10月上旬に一緒にいた2人を直撃取材。浦沢さんは、交際していることやラブホテルに入ったことを完全に否定している。浦沢さんには妻と娘がいて、女性にも家庭があるということだ。

一般論として、「ダブル不倫」にどんなリスクがあるのだろうか。男女問題にくわしい小田紗織弁護士に聞いた。

●証拠写真があれば慰謝料が認められる可能性は高い

浦沢さんの報道に関しては、ご本人たちが不倫関係を否定されているようですので、A男・B子夫妻とX男・Y子夫妻のうち、A男とY子がダブル不倫したという事例で考えたいと思います。

この場合、B子はY子に対して、X男はA男に対して、それぞれ慰謝料請求できます。ちなみにラブホテルに出入りしている証拠写真があれば裁判で慰謝料が認められる可能性はかなり高いです。

こういった場合によくある言い訳として、Y子が「私は不倫なんてする気はなかったのに、A男に唆された!悪いのはA男!」というものです。しかし、恋愛の駆け引きをする男女間の言った言わないレベルの話は通りません。

A男・B子夫妻、X男・Y子夫妻がそれぞれ離婚をしない場合、夫妻の「財布」は事実上は一体ですから、双方の夫妻の話し合いで、お互いに請求し合わないという解決もあります。

ただ、不倫されたX男が「どうしてもA男が許せない」として、「泥沼化」することもあります。お互いに裁判の仕合いになり、法廷でダブル不倫の内容が赤裸々に主張されて、B子とX男は知りたくもないことを知ることになります。

また、たとえば、A男・B子夫妻の夫婦関係が破綻していた場合、Y子の責任は免れるという裁判例があります。そのため、Y子は「A男が『B子との関係は破綻している。家庭内別居だ』と言っていた!」などのエピソードを主張することもあります。

いずれにせよ、いったん「泥沼化」すると、関係者みなが疲弊していきます。

●離婚した場合、慰謝料が高く評価されることが多い

このダブル不倫をきっかけに、A男との生活に我慢できなくなったB子が、A男と離婚したとします。裁判では、A男・Y子の不倫が原因で、B子は離婚せざるをえなくなったとして、慰謝料が高く評価されることが多いです。

私の個人的な感覚としては、夫の不倫に深く傷つきながらも、子どものために離婚をせずに我慢している女性の相談をよく受けるので、離婚したか否かで慰謝料額が変わるのには違和感を覚えます。

逆に、B子との生活に気まずくなったA男から離婚を請求できるかというと、不倫をしたA男は「夫婦関係破綻の責任者=有責配偶者」として、離婚請求は制限的に考えられています。

ここでよくあるA男の言い分は「不倫に走ったのは、家庭の中で夫をないがしろにしてきたB子に責任がある」というものですが、よほどの事情がない限り通りません。

●「家族に対する責任を自覚してほしい」

不倫は、自分の家族を傷つけ、家庭を破壊するものです。ダブル不倫となると、相手の家族・家庭も傷つけ破壊することになります。

20代〜40代の子育て世代の不倫の場合、大人の勝手な不倫・離婚によって、子どもが精神的・経済的に不利益を受ける事態が問題となることが多いです。

これに対して、50代の世代の不倫の場合、子どもは自立している世帯も多いでしょう。そうすると、子どもへの影響はさほど問題にならないかもしれません。

しかし、B子が何十年とA男や子どもら家族に献身的に尽くしてきた専業主婦だとすれば、B子は離婚したとして、今さら就職したり、新しい生活環境を築くことは現実には難しく、将来に悲観することは察するに余りあります。

不倫の当事者は、目先の恋愛や刺激を求めて、自分の都合ばかりを考えがちです。しかし、これまで築かれた家庭や、将来の生活を覆される家族に対する責任を自覚してほしいものです。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/