「勝手にNHKが住民票を取得して、NHKに登録している我が家の住所変更したという知らせが届きました」。子育て中の女性がブログに記したNHKの対応がネットで話題になっている。

投稿によると、この家庭ではNHKと受信契約を結んだ後、今年4月に現在の住所へ転居した。引っ越し後、NHKから登録住所を変更するよう依頼があったが、2〜3年後には元の家に戻る見込みで、受信料は「住所変更してもしなくても、自動引き落とし」だったため、ほったらかしにしていたそうだ。

すると、最近になって、NHKから「住民票(除票)の写しを取得」して、「お客様のご契約住所を転居先のご住所に変更する手続きをさせていただきました」とする通知書が届いたという。女性は「親族に依頼しても、本人の委任状がなければ(住民票の写しは)取得できません」と、NHKが住民票の写しを取れたことに不信感を露わにしている

ネットでも、「個人情報の保護ってなんだっけ・・・」といった意見があがっているが、法的にNHKが住民票の写しを取ることに問題はないのだろうか。

●「住民基本台帳法」に規定がある

弁護士ドットコムニュースが事実関係を確認したところ、NHKの広報局は「住民票(除票)の写しをとることがあるのは事実です」と答えた。NHKによると、対象になるのは受信料の請求書など、郵送物が不着となった場合や、受信料を払わずに転居した場合だ。

「受信契約者が住所を変更したときは、直ちに、その旨を届け出なければならないと規定されています(日本放送協会放送受信規約第8条)。NHKからの請求書などがお届けできなくなるため、住所変更の手続きが必要となります」(担当者)

法的な根拠は「住民基本台帳法」にあるという。同法では、弁護士や税理士など、一定の条件にあれば、本人以外でも住民票の写しを取得できると規定している。NHKはこの条件のうち、自身が「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者」(第12条の3第1項)に該当すると主張する。受信料を払ってもらう権利がある(債権者)からだ。

●「郵便物の配達」だけで理由になるかは微妙?

個人情報の問題にくわしい金田万作弁護士によると、この規定はNHKに限らず、貸金業者など多くの債権者が利用している。「債権者が住民票の写しを取ること自体は、問題のある行為とは思えません」(金田弁護士)

一方で、金田弁護士は「仮に郵便物が届かないというだけで取得しているとしたら、理由としては微妙な気がします」とも語る。引き落としなどですでに受信料が支払われている場合、郵便物を届ける目的だけでは「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するため」とは言えない可能性 があるというのだ。この場合、郵便物の中身が判断のポイントになるという。

金田弁護士は、「住民票には住所以外の情報も含まれます。住民基本台帳法には不正取得の罰則はありますが、取得された情報の悪用自体を直接防ぐことはできないので、消費者が自分の知らないところで住民票の写しを取られたことに敏感になるのも分かります。悪用や流出などのリスクを減らすためにも、事業者にはなるべく住民票を取得しないような取り組み・仕組みが望まれます」 と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)