タレントの藤井隆さんが1月11日、自身のツイッターで、何者かから「殺すぞ」などと脅されたことを明かした。

藤井さんはツイッターで「殺すぞ なんて一文を親や家族がそばにいる時に目にする悔しさ。スルーが良しだそうですが、そんな品のない言葉に私は慣れるつもりもないですし充分こちらは嫌な気分になっておりますので大成功なさってるんですね」と嫌悪感をあらわにした。

ネット上では、「芸能人有名人だからなに言ってもいいでしょ有名税でしょみたいなのは誠にふざけんなボケと思う」「脅迫ツイートした時点で既に犯罪者」といったコメントが見られた。SNS上で「殺すぞ」などの発言をすることはどのような犯罪にあたるのだろうか。ネット上の誹謗中傷問題に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

●実際に恐怖心が起きていなくても「脅迫罪」が成立しうる

「すでにネット上でも指摘されていますが、『殺すぞ』というのは脅迫罪に当たり得ます。脅迫というのは、人に恐怖心を起こさせるような加害予告のことです。殺されるということになれば、当然、人は恐怖心を感じるでしょうから、脅迫罪が成立する可能性があります」

清水弁護士はこのように述べる。

「藤井さんのツイート内容からすると不快には感じているものの、恐怖心は感じていないように読み取れます。この場合でも脅迫罪が成立するのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、脅迫罪の成立には、実際に恐怖心が起きたかどうかは関係がないとされています。

簡単にいえば、『普通なら恐怖心を感じるよね』と言えるようであれば、脅迫罪が成立し得るのです」

ネット上では「殺すぞ」といった発言は、割と気軽に使われているようにも感じるが、それでも脅迫罪になり得るのか。

「たとえば、対面や電話での会話で『殺すぞ』という表現がされた場合、その言い方や前後の状況などから、単なる冗談や過激な応答に過ぎないと分かる場合もあります。

しかし、インターネット上の見知らぬ者同士の間でのやり取りの場合、真意を窺い知ることは難しいですし、特に『殺すぞ』という一言だけ述べられているならなおさら、その傾向は顕著になります。

そのため、『殺すぞ』という発言を受けた人は文字通りの意味で捉える可能性があり、投稿者もそのことを想定し得るでしょう。このようなことから、やはり脅迫罪が成立し得るということになります。

芸能人に対してSNS上で暴言を吐いて逮捕された例は、報道されているものだけでもそれなりにあります。事件があっても必ず報道されるわけではないので、実際には報道よりも多いと思います。

気軽に投稿できてしまうSNSだからといって、気軽に『殺すぞ』といった投稿をすることは、自分の人生を『殺して』しまうリスクがあるということを意識するべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。2016年12月12日「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版(弘文堂)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp