実の親、配偶者の親との「同居」する目的の1つに「節約」をあげる方もいます。土地・建物のローンや光熱費は親が負担し、自分たちが負担するのは、食費と子どもの教育費だけ、というパターンも。

妻との離婚が決まった途端、同居する義理の親から「約6年間分の過去の家賃」を支払うように要求されたという相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられていました。

家族で、お金の話はしにくいもの。しかし、どこまで好意に甘えて良いのか。また、返金するように言われた場合には、支払う義務はあるのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。

●支払う義務は? 

「夫婦どちらかの親と同居していると、多少なりとも、同居する親との金銭問題が生じやすくなります。しかし、食費や光熱費など、親族相互間での扶養の範囲内に含まれるような費用は、お金の貸し借りとは言えず、返す必要はありません。

家賃についても、同居する際に賃料を設定していなければ、無償の使用貸借契約に該当し、さかのぼって支払う必要はないと考えられます」

しかし、山岸弁護士は共有財産にあたるかどうかについて、注意が必要だと指摘しています。

「私が注意したほうがいいと思うのは、名義を共有にした同居する家の住宅ローンをまるまる同居親に負担してもらっている場合です。ほかの生活費の負担状況にもよりますが、名義を有していてもまったく自分で支払いをしておらず、親が全て払っていたというような場合には、住宅が共有財産にあたらない可能性が出てきます。

共有財産は本来、住宅の価値のうちの相当分の分与を請求できます。しかし、共有財産にあたらなければ、分与を求める権利がないということになります」

なお、贈与の問題もあります。

「住宅ローンに限らず、高額の援助を受けているケースでは、贈与税が問題となることがあります。これは本来、自分で支払うべき多額の債務を親に支払ってもらっている、つまりお金を親から贈与されていると解釈することが可能だからです。

特に、住宅ローンの場合には、不動産の所有権が実際には負担していないにもかかわらず、名義だけは残りますので、問題になりやすいのです」

家族間でお金を話題にすることは、ためらわれるかもしれません。しかし後々のトラブルを防ぐためにも、支出については曖昧にしない方がお互いのためです。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。富山県出身。京都大学法学部・同法科大学院を経て弁護士登録。相続、離婚、成年後見、交通事故、不動産、会社法務などへの取り組み多数。ブログを通じての情報発信を重視する「ブロガー弁護士」。


事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:http://bengokanazawa.jp/