AI(人工知能)を標準装備とするサービスが当たり前の時代になりつつある。スマートフォンやタブレット市場が成熟化しハードの進化が停滞する中、AIを活用したサービスに注力する企業が増えた。

 10月4日に米国で開かれたグーグルの新製品発表会でも、AIが話題の中心となった。新型の会話型人工知能として「グーグル・アシスタント」が披露された。これまで音声アシスト機能としてはGoogle Nowが存在したが、グーグル・アシスタントでは、バックグラウンドで用いられるAIが格段に強化されている。

 たとえば、画像認識の精度は2014年の89.6%から93.9%に向上し、より自然な文章での翻訳が可能となり、合成音声もより細かい粒度で制御が可能となった。こうして進化したグーグル・アシスタントは、今回発表された新型スマートフォン「ピクセル」とスピーカー型の音声認識端末「グーグル・ホーム」に搭載された。とりわけ、グーグル・ホームは、先行のアマゾン・エコーとの差別化を図るうえでも有効な打ち手であるといわんばかりに、さまざまな機能が強調されている。

 とりわけ、音楽機能は充実している。ユーザーが特定の曲をリクエストすると、スポティファイやパンドラなど、予め設定したストリーミング音楽配信サービスから曲を流してくれる。ほかにも、情報を検索したり、クロームキャストやアンドロイドTVを操作して動画を再生したり、照明やエアコンなどスマートホーム機器を操作したりすることができる。

 だが、これらの機能は従来のアマゾン・エコーでも利用できるため、競合との差別化が特段図られているというわけではないが、グーグルは認識率やヒトの生活の文脈に沿った提案ができる点を強調する。

●AIの汎用性向上がカギ

 グーグルのハードウェア事業を統率するリック・オスターロー氏は、ロイターのインタビューで「ハードとソフトに一緒に取り組めば、優れたイノベーションが生み出せる」と語っている。この発言は、ハードとソフトの融合でいくつもの革新を実現した米アップル創業者のスティーブ・ジョブズの言葉を想起させるものであるが、重要なのは、両者の融合によりスマートホーム・アシスタントの汎用性をいかに高めるかにある。

 ヒトは日常生活のあらゆる局面でさまざまな考えを思いつき、想像し感情を発し行動をとる。この点を踏まえあらゆる状況において、スマートホーム・アシスタントがヒトの指示や疑問に応えるためには、ほかのサービスとの広範な連携が不可欠となる。それには、AIの汎用性を高めることが重要なポイントになろう。

 これまでソフト開発に特化し邁進してきたグーグルが、ソフトの性能や機能を最大限に生かせるような親和性の高いハードを今後開発し製品化していくことができるのか、注目するところである。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)