インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の価格が乱高下している。「トランプ相場」によるドル高に伴い人民元が大幅に下落する中、中国の資金がリスク回避先としてビットコインに急激に流れ込み高騰し、今月5日には最高値をつけた。だが、資本流出に懸念を強める中国当局が規制を強化したことで一転して急落。「未来の通貨」として期待を集めるビットコインだが、取引額の9割を占める中国マネーに相場を揺さぶられる危うさが浮き彫りとなった。

 国内取引所大手のビットフライヤー(東京都港区)によると、ビットコインの価格は5日に1ビットコイン当たり約15万円と最高値を更新した。しかし同日夜には11万円を割り込み、11日には下げ幅を拡大。足元は9万円程度で推移している。

 乱高下の主因は中国。米大統領選後にドル高・元安が加速し、通貨安による資産の目減りを回避するため元でビットコインを購入する個人が増加、騰勢が強まった。買ったビットコインをドルなどの外貨に換え、外貨規制をくぐり抜ける狙いがあったとみられる。

 だが今月5日、中国当局が市場の引き締めに動き、元が反発したため、ビットコインは「売りが優勢になった」(業界関係者)。さらに11日には、中国の中央銀行である中国人民銀行が、ビットコインの取引所に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)や不正な為替取引などがないか調査に乗り出したと発表。値下がりが加速した。

 ビットコインは2009年に取引が始まり、欧州キプロスの金融危機以降、資金の逃避先として注目され、世界的に浸透した。その後、15年8月の元切り下げもあって中国で売買が増加。昨年11月の世界での取引額は15兆円超と過去最高を更新したが、中国はそのうちの9割を占め、圧倒的な存在感を放っている。

 ビットコインは国境を越え瞬時に決済できるといったメリットがあり、中国以外でも普及に期待を寄せる向きは多い。だが、米投資銀行ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志通貨ストラテジストは「中国の政策変更で取引がなくなり、価格が急落する可能性もある」と警告する。このため、健全な取引に向け、業界からは「中国以外のシェアも増えた方がいい」(ビットフライヤー)とする声が上がっている。