草津市下物町の烏丸(からすま)半島のハスが琵琶湖の湖面からほとんど姿を消した問題で、今夏の周辺施設の入場者数やイベント参加者が、軒並み大幅に減少した。市は土壌調査をするなど原因解明を進めているが、繁茂していた従来の姿に戻るには年単位の時間がかかるとみられ、事業者らは「観光プランを見直さなければ」と不安の声を上げている。
 ハスの見学者は例年、三万八千人ほど。市にとっては夏の貴重な観光資源だった。
 群生地に隣接する「水生植物公園みずの森」は、群生地を巡った後に入園する客も多かった。しかし、ハスの姿が見えなくなった今年は七、八月の入園者数が前年比で約三割減り、二万六千二百八十三人にとどまった。
 みずの森の小田貴志園長は「群生地の不作が響いたというのが正直なところだ」と話す。ハスの開花時期は午前九時の開園を二時間早め、群生地からの臨時入り口を設けて対応しているが、今年はほとんど利用者がいなかった。八月に入り「消えた」状況が周知されていくにつれ、団体ツアーバスの台数も大きく減っていったという。
 上空や湖上からハスを見るイベントも打撃を受けた。烏丸半島で十二日間開かれた熱気球フライトの体験者は前年比で五割減り、千六百十七人だった。市商工観光労政課の担当者は「昨年はハスを見に来たと思われる高齢者層の利用が多かったが、今年はその層が少なく感じた」。
 群生地周辺をボートで進むハスクルージングはさらに深刻だ。今年は七月十六日から八月十四日まで運航する予定だったが、七月十五日に予約受け付けを中止。利用者は「ハスが見られなくても良い」と応じた四十八人にとどまり、昨年の千二百九十六人を大幅に下回った。運営する畑源さん(49)は「今年、二百万円かけて船四隻を追加したのに」と頭を抱える。
 一方、開館二十周年を迎え、七月十四日に一部展示をリニューアルした県立琵琶湖博物館は好調だった。新装後一カ月で前年比を三万七千人上回る十二万六千人を集め、担当者は「間違いなくリニューアル効果だ」と手応えを口にする。
 その集客力をあらためて示すかたちになった、今回の消えたハス問題。市商工観光労政課の担当者は自戒を込めて話す。「今まではハスがあるだけで人が来てくれていた。これからはハスに頼らずとも客を呼び込めるよう、今ある観光資源を磨き上げなければならない」
◆徳島の施設が協力、土壌分析続く 
 ハスが消えた原因究明を巡っては、県と草津市が七月に潜水調査を行った。八月から月一回程度、合同会議を行って対策を話し合っている。
 病気や食害については、食用レンコンの生産で有名な徳島県立農林水産総合技術支援センターなどの協力を得て、調査を進めている。
 市環境課によると、今月一日にはセンターの専門家が来訪し、土壌を採取した。分析結果は間もなく出る見通しという。
 (鈴木啓紀)