高山市一之宮町のレストラン「ホワイトルンゼ」のパティシエ熊本ゆうこさん(43)が、食品アレルギーに対応した菓子調理室の開設を目指している。「アレルギー症状に悩む全国の親子を笑顔にしたい」と、インターネット上で資金を集める「クラウドファンディング」に夢を託した。資金提供者には金額に応じて焼き菓子や食事券などが贈られる。
 熊本さんは東京都の専門学校でパティシエの技術を学び、結婚を機に帰郷し、両親が経営するホワイトルンゼで働き始めた。地元の食材を使った手作りスイーツを販売するほか、ウエディングプランナーとして結婚式も担当している。
 アレルギー対応の菓子作りを始めたのは五年前。店で結婚式を挙げた夫婦の長女は重度のアレルギー症状があり、卵や小麦粉、乳製品などを使うスイーツは口にできなかった。夫婦から「誕生日ケーキを何とか食べさせたい」と相談を受け、試行錯誤しながら飛騨産の米粉を使ったイチゴケーキを手渡した。後日、送られてきた写真には笑顔でケーキをほおばる長女の姿があった。「うれしくて涙が出た」と振り返る。
 ただ、アレルギー物質を含まない菓子作りは想像以上の苦労があった。少しでもアレルギー物質が付くと影響するため、調理の器具だけでなく、スペース全体の拭き掃除などが欠かせない。「少しでも小麦粉などが混ざると命に関わる。販売するからには責任が伴う」と熊本さん。
 そこで年内にも地下一階の部屋を改装し、新しい調理室を設けることに。その改装費などを調達するため、飛騨信用組合(高山市)が運営するクラウドファンディング「FAAVO飛騨高山」を利用した。目標は四十万円で、千円から資金提供できる。
 新しい調理室では、地元特産の宿儺(すくな)かぼちゃの米粉カップケーキや和栗モンブランなどを作り、個人向けやインターネットで販売する予定だ。「アレルギーがあっても安心して食べられる。そして家族みんなが元気になれるようなスイーツを届けたい」と話している。
 (坂本圭佑)