国民の祝日「山の日」が制定されて初めて迎えた信州の秋。紅葉前のアルプスの絶景を求めて多くの登山者が訪れている。人気の白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓)の主要ルート白馬大雪渓が雪不足で通行止めの今年、唯一の道は栂池自然園と猿倉登山口を結ぶルート(二泊三日)。九月中旬の三連休でここぞとばかりに縦走した。
 午前七時。小谷村の栂池駐車場には県外ナンバーの車が集まっていた。天気は曇り。翌日から雨のため一日で白馬岳(二、九三二メートル)に登れる栂池ルートを出発した。ゴンドラ乗り場では北ア遭対協が「白馬岳までならもういい時間だよ」と登山届を見てくれた。
 標高一八〇〇メートルから湿地帯を進み、ゴツゴツした岩場を登って稜線(りょうせん)に出ると眼下に雲上の高山湖、白馬大池が現れた。ハイマツ帯の雷鳥坂では運良く四羽のライチョウに遭遇。坂を登り切ると、西に割れ目が何本も走る痛々しい大雪渓が見えた。午後一時半に小蓮華山を通過するころから雨になり午後三時に白馬岳に到達。頂上直下の白馬山荘は女性や高齢の登山者が目立った。
 翌日も雨。数十メートルの視界に頂が現れては消える。杓子岳(二、八一二メートル)を迂回(うかい)し再びライチョウに会いながら午前九時に白馬鑓(二、九〇三メートル)に到達。砂地を下り、ぬれた鎖場を慎重に越えると湿った空気の中に硫黄のにおいを感じ、午前十一時に白馬鑓温泉に到着した。天空の温泉と言われる標高二一〇〇メートルの湯船に冷えと疲れが溶け出した。
 最終日。山荘から「雨で沢が増水して橋を渡れなくなるかも」と促され、午前七時に出発。二日ぶりの樹林帯を抜けて午前十時半に猿倉荘に下山した。各山荘に聞くと、天候や大雪渓が通れない影響で連休の登山客は例年の十分の一という。白馬と切り離せない大雪渓の復活を望まずにいられなかった。
 (五十幡将之)