伊那市の伊那図書館は、宮田村の民俗学者向山雅重さん(一九〇四〜一九九〇年)が写した記録写真二万一千百六十八枚を、従来の閉架書庫から開架の棚に移し、より気軽に閲覧できるようにした。関連図書も含め、多くの人の利用を呼び掛けている。
 写真はモノクロで、五二(昭和二十七)年〜七九(同五十四)年に撮影された。アルバム二百十冊にまとめられている。伊那市高遠町のだるま市、伊那市山寺のやきもち踊りといった伝統行事のほか、養蚕現場、学校の授業風景なども写っている。かやぶきの住宅の前で笑顔で立つ住民の写真などもある。
 向山さんは教職の傍ら県内を中心とした民俗を研究。柳田国男賞、中日新聞社会功労賞、秩父宮記念学術賞を受けている。
 写真は、郷土研究や教育に携わる人らによる向山資料保存会が整理し、九七年に伊那図書館に寄贈。同館は従来、来館者の求めに応じ三階の閉架から出してきていた。
 昨年解散した保存会が、有効な資料活用を望んでいたことなどを受け、二階カウンター近くに移した。職員に一声掛けて見られる。
 同階には、向山さんが取材内容を細かく記録したノート(野帳)の写しや、著作をまとめたコーナーもあり、酒井淳一館長は「地域への関心を高めてほしい」とPRしている。

 (近藤隆尚)