金沢で企画展
 県立美術館で開かれている展覧会「絵画にみる江戸のくらし」が、来場者を楽しませている。まるで昼ドラのような愛憎劇を描いた浮世絵や、当時の「イケメン」の肖像画だけを並べた一角など、ユニークな展示が江戸のくらしを身近に感じさせる。(岡本真穂)
 胸元が開いた色気のある歌舞伎役者の浮世絵に、「寛いだ着物からのぞく素肌が、アウトローの危険な魅力を醸し出している」との解説文が添えられている。
 この一風変わった解説を記したのは、学芸員の中沢菜見子さん(28)だ。「浮世絵は本来、当時の人々の様子や流行を描いたもの。堅いイメージの浮世絵を、できるだけ身近に感じて興味を持ってもらえるようにしたくて」と語る。
 歌舞伎を描いた浮世絵のコーナーでは、絵を順番に見ていくと、歌舞伎の舞台の仕組みや演者、演目の種類などを知ることができる。心中など男女の悲恋を描く演目「世話物」の解説も充実している。「歌舞伎は伝統芸能ではなくて、当時の流行。当時の人と同じ心持ちで見てほしい」と、「イケメンコーナー」を設けた。
 コーナーでは、中沢さんの好みの歌舞伎役者三人を紹介。イチ押しの「四代目中村芝翫(しかん)」は「これぞ歌舞伎役者という非の打ちどころのなさである」。解説にも熱がこもる。
 「(浮世絵作品が並ぶ)東京の太田記念美術館であった『江戸の美男子展』は参考にしましたが、こういった展示はあまり聞かないですね」と中沢さん。来館者からは「分かりやすい」「解説がよい」という声も寄せられている。
 展示作品は津幡町の美術愛好家の故久世重勝さんが集め、長男の靖さんが約十年前に寄贈した歌川国芳や歌川国貞の作品など約二百点。会期は二月十二日まで、入場料は大人六百円、大学生四百円、高校生以下無料。