浜松市の二〇一六年度のふるさと納税の申し込みが、十二月末までの九カ月間で約二万件、計六億七千万円に上り、前年同期比の二十二倍となった。今年は新たに、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の主人公で、同市ゆかりの井伊直虎にまつわる名所を巡る旅行プランも返礼品に追加し、さらなる寄付額の増加を目指す。
 市は、過熱する返礼品競争に「本来の寄付行為から逸脱している」と静観してきたが、市民税が流出している現状に危機感を持ち、一六年度から本格的に参入した。昨年四月にふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する「トラストバンク」と委託契約を締結。画面上でクレジット決済ができるようになり、前年度に七十三品目だった返礼品も大幅に増やして、昨年末には四百八十七品目をそろえた。
 「直虎イヤー」の今年は、返礼品を増やすだけでなく浜松に訪れて食や文化を楽しんでもらおうと、大河ドラマ館(北区細江町)や井伊家菩提(ぼだい)寺の龍潭寺(りょうたんじ)(北区引佐町)を巡る旅行プランを企画する。ふるさとチョイスでは、パッケージツアーを取り扱えないため、今年はさらに二つのサイトと契約し、ゴールデンウイークに間に合わせる方針だ。
 市への申込金額は、昨年の四〜十一月末で約三億八千万円で、駆け込み需要が伸びた十二月は、一カ月間で約三億円が舞い込んだ。五十万円以上の寄付でもらえる、市内のホテル宿泊券三十枚分や電子ピアノにも申し込みがあったという。申込金額の一位は楽器で二億四千六百万円。次にウナギが一億一千万円と続く。三ケ日みかんや浜松餃子(ギョーザ)も人気だという。
 寄付が爆発的に増えたことで気付くことも。ふるさとチョイスでは寄付を申し込む際に、自治体にメッセージを送ることができる。「浜松ってこんなにいいものがあるんですね」「楽器のまちだとは知らなかった。もっとPRした方がいいですよ」。市の魅力が県外では意外と知られていないことがわかった。
 市税務総務課の松本裕課長(58)は「外に向かって浜松を発信しているつもりでも、実際は伝わっていないことに気付かされた。今年は直虎を前面に押し出して浜松に訪れてもらいたい」と話している。
(石川由佳理)