三十八歳の決断に、熱い視線が注がれた。十三日のJ1リーグ・ジュビロ磐田の新体制発表記者会見で、横浜F・マリノスから完全移籍したMF中村俊輔選手(38)=元日本代表=は「自分の挑戦は、ピッチで示すことが一番」と意欲を燃やした。磐田の背番号10は一九九七年のJリーグ背番号固定制となって以来、初めて移籍選手がつけることになった。
 磐田市のヤマハスタジアムで開かれた会見。磐田新体制への期待は、約百人もの報道陣が詰め掛けたことに示されていた。青いスーツに身を包んだ元日本代表の司令塔は、名波浩監督への熱い信頼感を口にした。二〇〇〇年のアジアカップで日本代表が優勝した時のエピソード。当時、左アウトサイドで起用された中村選手は真ん中でプレーできないことでストレスを抱えていた。守備的MFの名波監督はそんな中村選手のストレスを感じとったのか、同選手と頻繁にポジションチェンジを行う気遣いをみせた。
 中村選手は「(名波監督は)自分がプレーするだけではない。周囲を気遣う人間性がみえてくる」という。自身のピッチでの役割については「若いFWには『こういうトラップ(ボールを止めること)があるんだよ』と声をかけたり、現在、三十二歳の選手には、三十六歳まで現役続行するには何が必要か、話し合う機会をもちたい」と語った。
 今季のJ1で上位進出を狙う磐田は、中村選手にエースナンバーの背番号10を与えた。これまで、磐田の背番号10は、生え抜きの三選手しかつけていなかった。九七年から二〇〇五年まで背番号10を背負った藤田俊哉さん(45)=オランダ・VVVフェンロのコーチ=は磐田黄金期に活躍、J1通算100得点をマークした攻撃的MF。〇六年から一〇年までは現在、アルビレックス新潟に在籍するMF成岡翔選手(32)。一一年から一四年途中まで背番号10をつけたMF山田大記選手(28)は現在、ドイツのカールスルーエSCでプレーしている。
 中村選手は「(ポジション争いは)ゼロからのスタート。これから競争がある。自分に何ができるか。磐田の今季のクラブスローガンの『繋(つな)ぐ』の言葉のように、(次世代)に繋げていきたい」と前を向いた。また、磐田は中村選手を看板選手と位置付け、個人グッズを作製することを検討している。

(川住貴)